手のひら返しの解散・総選挙をへて昨日招集された臨時国会。きょうは石破総理の所信表明演説がおこなわれる。臨時国会の開幕にあたって総理は「丁寧に各党の意見を聴きながら国会を運営し、国民に議論を聞いていただき納得してもらえるような結論を得たい」と抱負をのべている。本音かどうか分からないが、小数政権である以上それ以外の対応はあり得ないだろう。裏返して言えば野党の責任も問われる。好き勝手に国会を運営してきた自公連立の安定政権よりは、国会の風通しが良くなりそうな気がする。103万円の壁や政治改革をはじめ課題は山積している。小数与党と多数を制した野党の論戦にまずは注目したい。小数与党に転落したフランスでははやくも、政権与党の野党への譲歩がはじまっている。勢いに乗じて野党は次々と譲歩を迫っている。日本でも石破内閣の譲歩の連鎖が起こるのか。与野党の攻防が見ものだ。
フランスでの現状はどうか。ロイターによると「バルニエ首相は、2025年度予算案で争点の一つとなっていた電気料金への消費税引き上げを見送ると発表し、野党に大きく譲歩した。これに対し、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)は、さらなる要求を突きつけた」と昨日配信した記事で紹介している。当然のことだろう。譲歩しなければ予算案は成立しない。議会の勢力は日本と同じで野党が多数を占めているのだ。強気のルベン氏を支えるようにRNのバルデラ党首は「勝利」だとX(旧ツイッター)で宣言。続けて、「ここで止まるわけにはいかない。他のレッドラインがまだ残っている」と主張した。ロイターによると「薬剤費の払い戻し削減計画の撤回や、新税や増税の際の猶予期間の導入、中小企業向け競争力強化支援、移民や犯罪への対策の厳格化など」次々と要求を突きつけているという。
日本では落とし所をめぐって、自公に国民民主党を加えて政策協議がすでに始まっている。補正予算の総括文書には国民民主が要求している103万円の壁突破やエネルギー対策の方向性は盛り込まれている。政治改革をめぐっては与野党の協議も始まっている。石破首相の主張する「丁寧な運営」が形式的には実現しているようにみえる。だがそれが本当に国民に寄り添う方向になっているのかどうか、そこはまだわからない。岸田前総理はきのう「企業献金の廃止に反対」と石破総理に申し入れている。103万円の見直しにともなう来年度の減税は決まっているものの、規模はこれからの協議次第。財務省は虎視眈々とステルス増税や26年度以降の増税を狙っている。日本もフランスは、財政の完全化と国民生活を天秤にかけた論争だ。トランプ政権は政府効率化と減税をともに推進しようとしている。どっちをとるか、考えるまでもない。
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