石丸伸二氏が新党結成に踏み切った。新党名は「再生の道」、英語表記は「The Path to Rebirth」とある。7月に実施される予定の都議会選挙に向けた地域政党。NHKによると「自身は立候補せず、今後、公募で候補者を募り、42のすべての選挙区で擁立を目指すということです。また、党の唯一のルールとして多選の制限を設け、2期8年を都議会議員としての上限にする」とのこと。日本的な常識からするとちょっと異質な政党である。だからというわけではないが、この新党が巻き起こす波紋に期待したいと思う。波紋が広がるか、広がらないか、応募する候補者の顔ぶれと有権者の反応次第だ。個人的には日本という国は「官僚主導型資本主義国家」だと思っている。中国の国家資本主義とは違うが、似たようなものだ。誰が実質的な国家運営者かと問えば、中国は独裁者の習近平氏。日本は財務省を頂点とする官僚たちだ。

諸物価高騰の折、政府も日銀も官僚の意向に沿う形で予算を作り、金融政策を推進している。日銀は来週開かれる金融政策決定会合で、重い腰をあげ利上げに踏み切るようだ。キャベツが1個1000円近くまで値上がりすれば、「基調的物価の動向」などと悠長なことは言っていられない。円安阻止という緊急課題に真正面から取り組無しかない。103万円の壁をめぐる攻防は、財務省主導のドケチ回答に自民党のインナーたちが乗って抵抗している。来年度予算の成立に向けて水面下の駆け引きが再開される。民の要望は官僚主導の為政者には届かないだろう。その官僚たちは予算を勝手に操作する。来年度の一般予算案は総額115兆円だが、その裏には300兆円(重複排除後)近い特別会計が潜んでいる。そう、“潜んでいる”のだ。なんとなれば特別会計の審議は国会でもほとんど行われない。この予算は各省庁に割り振られ、役人たちがほぼ勝手に歳出入をいじっている。

それでも一昔前に比べてだいぶ改善されてきた。特別会計自の数はピーク時の38から直近で13まで減っている。歳出、歳入の内訳も情報公開が少しずつ進んでいる。それでも官僚支配の構造は一向に変わらない。薬品の売価を低く抑え、教員や看護師、介護施設の職員の人件費は抑制している。インフルエンザがはやってもタミフルは品薄。病院に言っても薬は出してもらえない。赤字の保険会計改善に向けた薬価調整をしているのだ。メーカーは作れば赤字、患者はゼネリックを半ば強要されるが、それでも薬不足は解消しない。そりゃそうだ、市場原理を無視した官僚統制なのだ。政治家は大半が国も地方も官僚機構の代弁者にすぎない。石破総理を筆頭に政治家の仕事は、優秀な役人が作った答弁書を正確に朗読するだけ。103万円の壁撤廃と聞けば「地方税収が減る」と、声を大にして地方の首長さんたちが総務省の代弁をする。これでは日本の再生など無理。そんな状況下に新党「再生の道」が登場する。波紋よ広がれ。