トランプ大統領が22日、中国との貿易戦争に舵を切った。貿易戦争というのはこの段階でいささか先走りすぎているかもしれない。だが、北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談に同意した後、同大統領の打ち出す政策は保守強硬派への回帰を鮮明にしている。コーン国家経済会議(NEC)議長を解任、ついでティラーソン国務長官、マクマスター国家安全保障担当補佐官と矢継ぎ早に更迭または解任している。後任はいずれも保守強硬派とみられる人物である。これに歩調を合わせるかのように中国を意識した貿易制限措置の導入である。北朝鮮に対する宥和政策はまるで中国との関係悪化を想定しているかのようだ。

トランプ大統領の強硬政策は11月に控えた中間選挙に向けた支持率の上昇を目指したものとみられていた。だが、現実には支持率は上昇しないばかりか直近の補欠選挙で共和党は敗北続きである。最近の強硬策を単に支持率と結びつけるのは早計かもしれない。内政面の混乱は収集するメドすら立たない。NHKによると大統領の個人弁護士であるジョン・ダウド氏が22日に辞任した。同氏はモラー特別検察官が主導するロシア疑惑の大統領側の弁護士である。その人がここにきて辞任するということは、捜査の進展と何らかの関係があるみるのが当然だろう。NHKは「トランプ大統領本人の事情聴取が検討され、捜査が大詰めを迎えているという見方も出る」とも伝えている。トランプ氏は自分で指名しながらダウド氏の意見に耳を傾けなかったという。なにやらきな臭い。

問題は中国だけではない。イランとの関係も険悪だ。マクマスター首席補佐官の後任に指名されたボルトン氏は保守強硬派の一人である。2003年のイラク侵攻を主唱した。当時、「ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務次官(軍備管理担当)を務めた」(ロイター)人である。北朝鮮については「保守派の論客として核問題に強硬姿勢をとるよう主張している」(同)。こういう流れの中で鉄鋼とアルミ製品に対する高率関税の適用が決定し、中国製品に対するさらなる課税の検討が始まっている。昨日NYダウは724ドル急落した。世界的な貿易戦争突発への懸念が原因である。どのメディアにもそう書いてある。本当にそうだろうか。米国の株価はトランプ氏の政策を評価して上がってきた。アメリカファースト=株高だった。その株価が崩れ始めた。トランプ政権崩壊の序章が始まったのではないか。