同筋によれば、米中央情報局(CIA)当局者や米核専門家計3人が、4月下旬から1週間余り訪朝。北朝鮮側との協議で、首脳会談合意にこうした内容を盛り込む見通しになった。
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は南北首脳会談でも、米国が求める完全で検証可能、不可逆な方法によって廃棄に至る非核化措置を受け入れる考えを示したという。米国は国際原子力機関(IAEA)を中心とした非核化措置を進めようと、すでにIAEAとの調整を始めているといい、日本にも協力を求める見通しだ。
北朝鮮は2000年代に開かれた6者協議で、原子炉などの核関連施設や兵器用プルトニウムの生産量などを関係国に申告した。しかし、科学的な方法を使った査察を含む検証作業を拒み、廃棄に至らなかった。
また、北朝鮮はこれまで、核兵器は軍事機密だとして申告自体を拒んできた。今回、北朝鮮は、すべての核施設と、日米韓が12個以上は保有しているとみる核兵器の査察に応じる構えをみせたことになる。
廃棄までの期間については、米国は短い時間で非核化を達成したい考えを北朝鮮に主張。トランプ政権の残る任期中、21年初めまでの申告から検証、廃棄完了を念頭に置いている。一方の北朝鮮は「体制保証」「米朝国交正常化」「経済制裁解除」などを要求。段階的に非核化を進める度に見返りを受け取りたいとしている。
米朝首脳がICBMだけの廃棄で合意した場合、日韓は北朝鮮の中短距離弾道ミサイルの射程内に取り残される。韓国はこうしたミサイルの脅威を念頭に4月27日の南北首脳会談で、「相手に対する一切の敵対行為を全面中止する」と合意した。日本にとっては、北朝鮮のミサイルをどう抑止するかが課題として浮上する可能性がある。
非核化措置の手順や見返りとの関係などについて米朝は、首脳会談後の実務協議で詳細を詰める案を検討している模様だ。北朝鮮市民に対する人権侵害の問題や生物化学兵器、原子力の平和利用などの問題は、首脳会談後に先送りされる可能性もあるという。
また両国は首脳会談の開催地についても協議を続けている。トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで記者団に、「2、3日以内に開催地と開催日は発表されるだろう」と語った。(ソウル=牧野愛博)