ニュースを読みながら時々違和感を覚えることがある。理由は良くわからないが、ニュースというものが持っている構造的な問題に起因しているような気がする。きょうのニュースで違和感を感じたのはトランプ大統領にまつわる次のニュース。「中間所得層を対象とした10%の減税措置を盛り込んだ決議案を2週間以内に策定することを計画していると発表した」というもの。最近トランプ大統領は頻繁にこのことに触れている。中間選挙を間近に控えて有権者の関心を引こうとする選挙対策だ。これが実現可能な政策であるかどうかは誰も気にしていない。もちろんマスメディもそんなことは眼中にない。大統領が発言しているからキャリーしているのである。結果的にこれが大統領の選挙応援になっている。反大統領派と言われるメディアもその意味では大統領を応援している。

うがった見方をすれば反トランプ派のメディアの狙いは、「実現しそうもない政策をぶち上げて選挙を有利にしようとしている大統領」とのイメージを際立たせたいのかもしれない。このニュースの現実的な効果は脇に置いとくとして、一つのニュースにもそれをキャリーするメディアにも、様々な思惑が隠されている。これがニュースの構造を複雑にする一つの要因だろう。同時に大統領の発言がいかに非現実的か、この点に関する報道は筆者の知る限り見当たらない。トランプ大統領の手法は最初に口頭で政策をブチあげ、次にそのための手順を明らかにする。そして政策実現に向けて議会の同意が必要な場合は調整に動き出すというプロセスを経ている。今回の減税案についても選挙応援でまず口頭でぶち上げ、次の段階がきのうの発表である。減税に向けた決議案なるものをホワイトハウスが策定し、最終的に減税の詳細を法案化し議会の承認を得る。大雑把に言えばこんな手続きになる。

ところが今回の場合は、間に中間選挙がある。劣勢を挽回するための減税案が奏功して共和党が勝利すれば、減税案は実現するだろう。現実的にはその可能性は少ない。いまの見通しでは下院で民主党が勝利する可能性が高く、下手をすると上下両院で共和党は敗北する可能性がある。仮に共和党が敗北した場合トランプ大統領の掲げた減税案は議会で否決されるだろう。政権側が否決を見越して減税案をぶち上げているとは思はないが、否決される可能性の高い政策を選挙目当てでブチあげていいのだろうか。事前の議論が不十分で思いつきのようなあやふやな政策を、メディアがキャリーすることにも違和感がある。考えてみればニュースを取り巻く構造はかなり複雑である。複雑な構造を持っているニュースを減税の一点にズームインして報道することの意味は何か、今朝は答えの出ない違和感に苛まれている。