朝日新聞が15、16日に実施した全国世論調査の結果が本日の朝刊に掲載されている。安倍内閣の支持率は40%で前回(11月調査)の43%から若干下がった。不支持は41%で前回(34%)から大幅に上昇している。臨時国会の強引な議会運営が影響したとある。そうだろうと思うが、支持率の下がり方は意外に少ないような気もする。今回の調査のポイントは内閣支持率よりも、14日から始まった辺野古への土砂投入開始に対する賛否。「投入反対」は60%にのぼり、政府と県の「対話不足」との回答が76%に達している。普天間基地の辺野古移設反対の論陣を張る朝日新聞は意を強くしたことだろう。

個人的には辺野古へ移設しなくてもいいような環境が整うことを願っている。聞かれれば土砂の投入には反対と答えるだろう。でも20年以上にわたるこの問題の経緯を振り返れば、「致し方ないのかな」という気もする。政府と県の対話はどんなに時間をかけても対話不足と言われるだろう。対話不足というよりも対話がかみ合わないことが問題なのだ。臨時国会の終盤で野党は審議不足を盛んに強調していた。対話不足も審議不足も根っこは同じだ。どこまでいっても議論はかみ合わない。対話不足というよりも議論のすれ違いと言ったほうが適切なのではないか。対話不足76%という数字には、白を黒といい含めるほどの悪意はないが、問題の本質を巧妙にぼかし政府を悪者に仕立て上げようとする意図が見え隠れしているように思う。

そういえば土砂投入が開始された翌日(15日)の朝刊の一面に、「想像してほしい これが自分の街なら」と題した那覇総局長の怒りのコラムが署名入りで掲載されていた。そこには「奇策や強硬策を連発し、躊躇することなく民意を踏みにじる。なぜ『辺野古か』『なぜ急ぐのか』の説明をつくそうともしない。普天間問題は22年続くが、ここまで強硬な姿勢を見せた政権はない」と強調する。那覇総局長は、いや朝日新聞は読者に何を伝えようとしているのだろうか。一刻も早く普天間の危険性を取り除いてほしいと願う沖縄市民の切実な願いは、「普天間問題は22年続くが」という短い表現で切り捨ててしまっていいのだろうか。新聞社の建前は公平、公正、中立にある。米中の覇権をめぐる対立が激化している。それ以上に世の中は激しく揺れ動いている。反対派を非難しようとは思わない。だが、メディアは先の見えない時代に反対派に寄り添うだけでいいのだろうか。