ニュースは多角的かつ時系列を追ってみないと正しい判断ができない。個々のニュースは突発的に起こっているように見えるが、実は裏深いところで繋がっていたりする。そこがニュース解読の難しさであり、同時に面白さでもある。そんなことを考えさせられたのは産経新聞の記事。25日の紙面に「『中国の挑発許した』 韓国、日米との歩調乱れに危機感」と題する内容だ。「中国軍機が23日に韓国の防空識別圏に進入し、鬱陵島(ウルルンド)と竹島(島根県隠岐の島町)の間の上空を飛行したことを批判する韓国で、「日米との歩調の乱れが『中国の挑発』を許した-との危機感が出ている」と書いている。これにボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が米朝首脳会談に先立って行う予定だった訪韓を直前に中止した事実が絡む。
慰安婦問題や徴用工に関する賠償問題、自衛隊機へのレーザー照射事件など日韓関係は危機的状況に陥っている。27日、28日にはベトナムで米朝首脳会談が予定されている。そんな中でボルトン大統領補佐官が週初に予定していた訪韓を中止した。中止の理由について同氏の報道官は「ベネズエラ情勢に注視するため」(産経新聞)としており、韓国の対応に問題があったわけではない。が、これに伴って月末に釜山で予定されていた日米韓高官級協議が取りやめになった。中国軍機が侵入したのはその直後だと産経新聞は書いている。日頃から韓国政権に対する批判を繰り広げている同紙のこと、記事全体の関連も多少割り引く必要があるのかもしれない。だが、相手の隙を着くのが軍隊の鉄則だとすれば、中国軍の示威行為があっても不思議ではない。
韓国の康京和外相はきのう、ジュネーブで開かれた国連人権理事会で演説した。共同通信によると戦時下の性暴力に関して旧日本軍の従軍慰安婦問題に言及、日韓双方の取り組みは「被害者中心の視点を欠いていた」と強調した。これに合わせるように産経新聞はきょう、ベトナム戦争に参戦した韓国軍兵士ら数千人が、ベトナム女性に性的暴行を行ったという事実を紹介している。女性が産んだ混血児は「ライダイハン」と呼ばれている。ベトナム語で「ライ」は混血、「ダイハン(大韓)」は韓国の蔑称を意味する。その一人は「求めているのは謝罪でも補償でもない。人知れず戦争のごみとされた混血児の存在を韓国政府に認めてほしい」と訴えている。ライダイハンはベトナムに5000人から3万人存在するとされる。歴史の闇には無数の悲劇が埋もれているようだ。