ファーウェイ排除が徐々に広がりつつあるようだ。グーグルやソフトバンク、同系列のアームなど同社排除の意向を示す企業が次々と名乗りをあげている。どうしてそこまでファーウェイは嫌われるのか、今ひとつ納得できる説明はない。そんな中でロイターが配信した記事はファーウェイ問題の核心に迫っている。ファーウェイというよりも中国の脅威と言ったほうがいいかもしれない。一帯一路を見るまでもなく、グローバルに拡大する中国。それは核兵器を上回る脅威だ。もちろん直接的にそうした表現があるわけではない。ITが世界を支配する時代を展望すれば、通信施設を抑えることが核兵器よりも世界支配の近道なのだ。そういう世界はすぐ目の前にきている。要は中国の覇権に賛成か反対か、これがファーウェイ問題の“核心”だろう。

24日に配信された「特別リポート:ファーウェイ排除の内幕、激化する米中5G戦争」を読むと、IT時代の恐ろしげな“脅威”が浮かび上がってくる。そんな時代の必需品が5Gだ。5Gが普及すれば冷蔵庫やテレビ、エアコンがネットに繋がり、自動車をスマホで操作することも可能になる。それだけではない。企業や政府、官庁のシステムが5Gに繋がり、上下水道や公共交通機関、さらに自衛隊の艦船や航空機まで5Gネットに接続される。そのネトワークの基幹を担うのが基地局である。ファーウェイは世界でもっとも高性能で安価な基地局を既に完成させている。世界中でこの基地局を導入しよいうとしていた矢先、トランプ大統領がこれに待ったをかけた。理由は安全保障上の「脅威」。ファーウェイはここに「裏口(バックドア)」を組み込んでいると懸念する。

いまのところ「バックドア」の証拠は見つかっていない。創業者である任正非CEOも「(国から)スパイ活動への協力を要請されたことは一度もなく、いかなる状況においてもそのような要請は拒否する」と主張する。だが、米国は「サプライヤー(ファーウェイ)が提供するソフトウェア更新」が一つの問題だとみる。機器をアップデートする際に不正なソフトを仕組めば、5Gシステムならびにこれに連なる様々な機器が正常に働かなくなる。それ以上に国家が存亡の危機に直面するかもしれない。要するに米国は中国を信用していないのだ。日本も米国に同調するだろう。安倍首相の言葉を借りれば中国は「自由、民主主義、人権」といった基本的価値観を共有できない国ということになる。ハーウェイ問題の核心は、習近平主席が絶対に受け入れられない価値観をめぐる争いである。