[ニューヨーク 26日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対し安定的に推移した。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言から、FRBが来月の会合でそれほど積極的な利下げは行わないとの観測が出ていることが背景。

この日は朝方、ムニューシン米財務長官がCNBCに対し、米中通商交渉は「90%程度」完了していたとの見解を表明。これを受けドルとユーロが対円で上昇した。ただ、今週の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を控え市場で警戒感が出ていることに加え、米国とイランとの間の緊張も解消されていないことから、安全通貨と見なされる円とスイスフランの下落は限定された。

トランプ米大統領は中国との通商問題について、今週予定する中国の習近平国家主席との会談で通商合意を得ることは「可能」と言明すると同時に、物別れに終われば中国製品に追加関税を発動する考えを表明。G20首脳会議に合わせて開かれる米中首脳会談で少なくとも通商協議再開の糸口はつかめるか注目が集まっている。

クレディ・アグリコル(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「米中が協議を継続するとの期待は出ているが、現状の打開はないだろう」とし、「ドル相場に対する影響は中立的なものとなる」との見方を示した。

終盤の取引でドル/円は0.57%高の107.790円、ユーロ/円EU
RJPY=EBSは0.58%高の122.585円。ドルは対ユーロでほぼ横ばいの
1.1372ドルとなっている。主要6通貨に対するドル指数は0.09%上昇したが、3カ月ぶりの低水準をやや上回る水準にとどまっている。

前日はパウエルFRB議長が外交問題評議会(CFR)で行った講演で、FRBは「短期的な政治圧力から隔絶」していると述べ、トランプ大統領の利下げ要求をけん制。このほか、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米経済は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利下げが必要になるほど悪い状況にはないとの考えを示した。こうした発言を受け、7月30─31日の次回FOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げが決定されるとの観測は後退している。

CMEグループのフェドウオッチによると、金利先物はFRBが来月に利下げに動く確率は100%であることを示しているが、利下げ幅については50bbpとなる確率が24%と、前日の30%から低下している。

仮想通貨ビットコインはこの日も上昇。ビットスタンプ取引所で一時16
.26%上昇し、2018年1月以来の高値を付けた。

ドル/円 
     NY終値 107.77/107.80
始値 107.67
高値 107.84
安値 107.60
ユーロ/ドル 
     NY終値 1.1368/1.1371
始値 1.1365
高値 1.1390
安値 1.1349