日本政府が1日、韓国向けの輸出規制を発動したことが日韓両国で大きな波紋を広げている。日本が世界シェアの7割〜9割を占めているフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの対韓輸出を事前許可制に切り替えたことが原因。高度の先端技術を使った輸出品はミサイルや攻撃機、核兵器などに転用される恐れがある。だから、信頼関係のない国に対しては個別の物品ごとに事前に経済産業省が審査することになっている。輸出品に“審査”という手続きが入る。これが通常の手続きであり、手間と時間がかかる。これを回避するために設けられているのが「ホワイト国」制度である。日本との信頼関係が厚く、輸入した物品で日本を脅かす兵器などに利用することがないと判断される国、要するに日本との間に信頼関係がある国はこうした手続きが免除され、ほぼ自由に輸出入ができる。

日本政府はそのホワイト国から韓国政府を除外した。ホワイト国は現在27カ国。適用が除外された国はこれまでになく、韓国が初めての適用除外国となる。ここに今回の問題の本質がある。日本政府は「韓国は信頼できる国ではなくなった」と世界中に告知したのである。振り返ってみれば文在寅(ムンジェイン)大統領の登場以来、日韓関係は不信感をぶつけ合う連続だった。思い出すままに列挙すれば、海上自衛隊の旗である旭日日章旗を掲載した自衛艦の入国を韓国が拒否。慰安婦問題では日韓両政府の合意に基づく財団の解散を主導し、日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去を拒否した。徴用工問題で韓国政府は日韓条約に盛り込まれている履行義務を無視。仲裁にあたる第三国の選定でも態度を表明せず逃げの一手。挙げ句の果てが自衛隊の哨戒機に対するレーザー照射である。事実を認めないばかりか、逆に日本に謝罪を要求する始末。挙句の果てが韓国議長の天皇に対する謝罪要求発言。韓国政府と議会は常軌を逸した行動を続けてきた。

文大統領登場後の韓国は信用できない。おそらく多くの日本人はそう考えている。政府もそう考えた。だから「ホワイト国」から除外した。規制の対象となる品目はとりあえず3品目である。メディアは3品目の規制による影響を大々的に取り上げている。それも間違いではないが、何よりも大事なことは、日本政府は韓国政府を信頼していないというメッセージである。当の韓国は昨日、あたふたと青瓦台で大統領を交えて対策会議を実施。「とりあえずの対応は、在韓日本大使を呼んで抗議した外交部や、産業通商資源部に任せることになった」(Yahooニュース)という。ここでも大統領は前面に出ようとはしない。そして通商部は「WTOに提訴する」と息巻いている。韓国は自ら蒔いた種で自らの信用を失墜させている。この現実を理解しない限り、日韓の正常化は一歩も前に進まないだろう。