23日(火)にロシア軍機が竹島(韓国名・独島)上空で領空侵犯した。この島を実効支配する韓国軍が威嚇射撃を実施した。これに対して日本は菅官房長官がロシア、中国、韓国に抗議した。竹島は日本固有の領土だからである。ロシア機は中国機と一緒に行動していた可能性も指摘されている。この件については24日に「日本固有の領土を守る韓国軍」と題してこの欄で書いた。そのあとも、この件についてはネット上でいろいろな解釈が取り沙汰されている。事実関係は相変わらず不明だが、この事件の背景には「ただならぬ空気」が漂っているような気がして仕方がない。なんとなく時代の転換点に差し掛かったような気もする。単なる胸騒ぎで終わればいいのだが……。
輸出管理強化を巡って日韓の関係が怪しくなっている折もおり、ロシア軍機が日韓で領有権を争っている竹島の上空を領空侵犯した。日本海で行なっている中国との共同軍事演習の一環ではないかとの指摘もある。そうだとすれば中露接近の証でもある。言わずと知れた共通の敵である米国を意識した行動だが、中露とも直接米国とことを構えることはない。輸出規制で溝を深める日韓が領有権を争っている島を対象にことを起こす。日米韓の同盟関係にくさびを打ち込もうとしているようだ。韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は米国や日本より、中国やロシアに親近感を感じているようなところがある。両国を後ろ盾としている北朝鮮は韓国を手駒のように使いこなしている。
韓国の政府高官はホワイト国の除外措置に関連して、GSOMIA(ジーソミア、韓国と日本の軍事情報包括保護協定)の見直しに言及した。日本に対する厳しい対抗措置を求める与野党国会議員の激しい追及を受けたあとでの発言のようだが、貿易問題がとうとう軍事問題に波及する可能性があることを公に認めてしまった。仮に韓国がほんとうにそれを実行すれば、日韓どころか米韓関係も一段と深刻になるだろう。それはロシアと中国の思う壺かもしれない。日韓問題だけではない。EUはイラン情勢に関連して米国が求める有志連合には加わらず、EU独自のホルムズ海峡安全航行策を模索し始めている。米国離れとアンチ米国連合の激しいつばぜり合い。北朝鮮もイランも日韓の軋轢もひょっとすると、もっと大きな枠組みの中の一コマなのかもしれない。
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