韓国がGISOMIAの破棄を決定したあとに開かれたG7。産経新聞など複数のメディアが、トランプ大統領の韓国・文在寅(ムンジェイン)大統領に対する評価を暴露した。曰く「韓国の態度はひどい」「賢くない」「彼らは金正恩委員長に、なめられている」等々。また、文在寅氏個人についても、「信用できない人物だ」と語っていたという。それだけではない。FNNによると「金正恩委員長は、『文大統領はウソをつく人だ』と俺に言ったんだ」と金委員長の言葉まで暴露したという。これが本当なら文在寅氏の悪評は敵味方に関係なく共有されていることになる。ネット社会は自分に都合のいい情報だけを耳にする傾向がある。反文在寅派にとっては格好の話題だろう。

一方のトランプ大統領。G7開催中に記者団に「中国側から『米国の貿易担当トップ』に『交渉の席に戻ろう』と電話で伝えてきた」と主張、合意成立に中国が必死になっていると語った。このニュースは瞬時に世界中を駆け巡り、世界中で一時株価が急騰した。深刻化する米中摩擦に緩和の兆しありと受け止められたのである。ところが、昨日配信されたブルームバーグの記事によると、「交渉再開求めてきたとのトランプ発言、一番驚いたのは当の中国」であり、「中国政府内で何を指しているか理解した者はいなかった様子だ」と伝えている。それどころか、「中国側が圧力に屈しているかのようにトランプ氏が述べたことで、中国はトランプ氏に抱いていた最悪の不安を確認した」という。「つまり合意成立させるにはトランプ氏は信用できない」と改めて確認したのだという。

有り体に言えばトランプ大統領は嘘をついた。こちらも事実関係は判然としない。これが事実なら文氏もトランプ氏も「嘘つき」だ。政治家というのは嘘を平気でつけないと成り立たない職業なのかもしれない。ついでに言えばG7で議長を務めたフランスのマクロン大統領は、アマゾン川流域で発生している火災の鎮火に向けて「2000万ドルの緊急支援拠出」を決めたと発表した。マクロン氏は米国の同意を得たと発言していたのだが、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は昨日、「米国は合意しなかった」と述べている。トランプ大統領は緊急支援を決めた気候変動に関する会合を欠席しており真意は不明。これも人気取りを狙ったマクロン大統領の嘘に近い見込み発言か。政治家の嘘を見抜くメディアが必要だ。