新型肺炎は一向に衰える気配をみせない。そうこうするうちに先行き不安が高まってNYダウが暴落、世界中の株式市場が不安一色に包まれた。新型肺炎の先行きに対してWHOをはじめ、世界中の国々がやや甘く見ていた印象がある。筆者もそうだった。これほどまでに感染が一気に拡大するとは思っていなかった。新型コロナウイルスの恐ろしさに改めて驚いている。こうした中で、徹底した感染防止策を実施して高い評価を受けている国がある。シンガポールだ。民主独裁といわれる強権政治が、シンガポールの感染拡大を封じ込めている。

ロイターが23日付で配信した以下の記事に詳しく紹介されている。「焦点:シンガポールのウイルス対策、他国がまねできない徹底ぶり」。中身を見ると「シンガポールに移住したばかりの米国人ジェニー・キムさん(51)がマンション内で新型コロナウイルスの感染例を知った翌日、きちんとした身なりの男性が訪ねてきた。後で分かったのだが、男性は政府の高官だった」という。同国は2003-04年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の経験を踏まえ、感染症の拡大の防止に強い態度で臨んでいる。「厳しい出入国管理を維持し、ウイルスをまき散らす可能性がある人々の監視を正当化できる厳格な法律もある」という。

だから、「個人生活への立ち入ることも受け入れられている」。警察捜査員や防犯カメラを使って「2500人超を追跡、隔離」、ここまでやって感染の拡大を防いでいるのだ。国の調査に対して情報を伏せたり、不正確な情報を提供するのは犯罪。「隔離命令に従わなければ最大1万シンガポールドル(約80万円)の罰金か、最長6カ月の収監、もしくはその両方が科せられる」というのだ。そこまでやらなければ感染拡大は防げない。台湾の蔡英文総統の支持率も急上昇している。クルーズ船の寄港禁止や中国人の入境禁止など厳格な対応に徹していることが評価されている。こうした対応は日本ではまず無理だろう。新型肺炎の感染拡大は政権の対応という点でも新たな問題を投げかけている。