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台北市内の総統府で30日に開かれた記者会見に臨む蔡英文総統(右、台湾・総統府提供)

 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を防ぐため、クルーズ船の寄港禁止や中国人の入境禁止など厳格な対応を進めている台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統の支持率が急上昇している。24日公表の調査は支持率68・5%で、先月の総統再選後の調査よりも11・8ポイント上昇した。

 世論調査機関「台湾民意基金会」による毎月の調査で、今月の値は2016年5月の初当選就任時の69・9%に次ぐ2番目の高さ。蔡政権の防疫対策について75・3%が「80点以上」と評価している。

 台湾では02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)で37人が亡くなっており、感染症への警戒感が高い。陳建仁(チェンチエンレン)副総統は台湾大学の公共衛生研究所長を務めた防疫の専門家。蔡政権は先月22日に中国・武漢からの旅行者の訪台を止め、その後、中国人の入境を原則的に禁じた。クルーズ船の入港もいち早く禁止した。

 24日時点で台湾の感染者は計30人(うち死亡1人)。多くは中国滞在者とその近親者らで、厳しい対策で市中感染の拡大の勢いを抑え込んでいる形だ。

 現状の蔡政権の対応を支持している世論だが、将来の感染の広がりについては、今後数カ月で「厳しくなる」が39・8%、「厳しくはない」が46・3%で見方は分かれている。(台北=西本秀)