政府が7日に行った「緊急事態宣言」からすでに3日が経過した。この間、都ともめていた休業要請の対象もようやくまとまったようだ。小池知事が強調する「スピード感」とはかけ離れたスローペースだ。何が問題かはとりあえず置くことにして、新型コロナの感染拡大阻止を目指す国や自治体の動きは常に後手後手だ。中でも気になるのが、感染防止対策のなかに多くの矛盾があることだ。思いつくままに列挙して置く。まずはスピード感。一刻を争う対策にいつも悠長に時間をかけている。国民から見ればこれがイラ立ちの原因である。安倍総理は「接触を8割減らす」という目標を掲げているが、最大の接触機会である交通手段は手付かずのままだ。

小中高校の休校は要請するが、学童保育は対象外。今朝テレビでやっていたが、学童保育に児童が集中している。場所によっては過剰接触になりかねない。児童のストレス解消のために、休校中の近くの学校に分散して児童を連れていって遊ばせていると、教育委員会から「校庭は使うな」と指示が入るそうだ。マニュアル小役人のなんとおぞましいことか。死活問題に直面している飲食店の救済は後回し。230億円だった布マスクの予算はいつの間にか460億円に跳ね上がっている。菅官房長官の言い草がまたずるい。「洗濯をしながら平均20回使われたとすれば、使い捨てのマスク20億枚分の消費を抑制することになる」。そうだとしても最初から説明すべきだろう。批判を浴びた後の後出しじゃんけん。ずる賢いだけだ。

政府を裏で支えている専門家会議。8割接触を減らすべきとしながら、具体的な対策は「外出自粛要請」優先、「休業要請」は2週間程度様子をみてと二段構えだ。先手必勝は感染防止の要諦。素人でも知っている。専門家のなんと呑気なことか。日本の感染防止対策、安倍総理が最高責任者だとしても専門家の責任者は誰か、いまだに判然としない。座長はほとんどメディアには出てこない。ウイルスとの戦いは時間との戦いでもあるが、即断即決できる権限は専門家には与えられていないようだ。戦う体制も戦うロジックも曖昧で、すべてが場当たり的。それでも感染拡大がある程度抑制されているとすれば、従順な国民の行動変容への努力と、現場で文句も言わず黙々と働く関係者の必死の頑張りの賜物だ。