きょうから5月。月日の経つのは速い。2月以降この3カ月、思えば新型コロナに明け暮れた気がする。特措法に基づく緊急事態宣言が6日に切れる。専門家会議はきょう会合を開いて最近の状況を分析、宣言の延長を提言する。緊急事態が続くことで個人的には支障はほとんどない。だが、本当に事態はそれほど深刻なのかという気もする。新型コロナをめぐる最近の動きで、いくつか“腑に落ちない”点がある。この際それを整理しておこうと思う。第1は、実効再生産数が4月1日を最後に発表されていないことだ。第2はPCR検査に関して相変わらず“神学論争”が続いていること。第3は「最低7割、極力8割」は“何を減らすのか”だ。

実効再生産数は1を上回れば感染が拡大し、下回れば終息に向かう。推定値にすぎないが、素人から見ればわかりやすい。ドイツなどは毎日この数字を発表している。ところが日本では4月1日に東京都が1.7に達したと発表されて以来この数値は公表されていない。個人的には1を大きく下回っているのではと邪推している。これを発表すれば、緊急事態宣言やむなしの緊張感と齟齬をきたす。ゆえに発表を控えているのではないか、ゲスの勘ぐりにすぎない。この数値が高いなら発表すべきだ。そうすれば国民全体が危機感を共有できる。ちなみに「7割、8割」を提案している西浦理論では、2.5という数値が前提になっているとの推測が一部にある。

PCR検査は今更いうこともない。問題は第3の「7割、8割」だ。首相も専門家もこれを接触機会の削減目標と説明する。感染経路は3つある。①接触感染②飛沫感染③空気感染。感染阻止に向け日本中が「3密」回避に取り組んでいる。加えて、社会的距離、マスク、咳エチケット、手洗いも。全ての点で日本は優等生だ。だが、こうした努力は接触機会の削減目標には入らない。テレビは人の流量だけを見る。専門家会議の要請なのだろう。それでも「想定通りに感染者の数は減らない」(西浦教授)。ドイツの感染者は30日現在、1478人増の15万9119人。死者は同173人増加して6288人だ。それでも4日にもう一段ロックアウトを緩和する。再生産数が0.76に下がったからだ。わかりやすい。これに比べ日本の対策は“腑に落ちない”ことが多すぎる。