九州各地を襲った集中豪雨による死者は、NHKのまとめるによると今朝の段階で49人に達している。このほか1人が心肺停止、11人が行方不明になっている。コロナに気を取られている一方で、自然災害が激しく日本を襲っている。日本のコロナによる死者は全世的にみれば相対的に少ないが、自然災害による死者の数はかなり多いのではないか。新型コロナによる未知の脅威に世界中が恐れ慄いている。だが自然災害もまた未知なる脅威と言っていいだろう。毎年、毎年、どうしてかくも多くの集中豪雨が発生するのか、そのメカニズムは依然としてはっきりしていない。温暖化説が有力であることは間違いないが、集中豪雨を防ぐ予防ワクチンはどこにもない。

集中豪雨の予防にはならないが今朝の日経web版には、集中豪雨発生のメカニズムが詳しく紹介されている。九州地区に記録的な豪雨をもたらした犯人は「線状降水帯」というものらしい。「長さ50~300キロメートル程度、幅20~50キロメートル程度という台風や梅雨前線と比べて狭い範囲で起こる。いつもは1時間程度で消える積乱雲が、幾つも同じ場所にとどまって雨を降らせる」(日経web版)のだそうだ。線状降水帯は①低気圧によって海水を大量に含む雲が派生②前線や地形の影響を受けながら陸上に運ばれて積乱雲に発達③その積乱雲が一線上にならんで特定地域に停滞④大量の雨を降らせるーということのようだ。もちろんこした現象が起こる裏には温暖化など、地球環境の激変が関係しているとみて間違いないだろう。

日本中のどこでも線状降水帯は発生するようだ。四方を海に囲まれているという独特の地形が、線状降水帯の発生を容易にしている。豊かな水源に恵まれ稲穂がたわわに実る瑞穂の国・日本、地形的な優位性はいまや地球環境の変化によって水害の原因にもなっている。とはいえ、水害が発生しているのは日本だけではない。米国も中国もヨーロッパも、それこそ世界中で巨大な自然災害が発生している。新型コロナ対策と同じで世界中が協力して原因の究明と対策づくりに取り組まない限り、宇宙船地球号はそんなに遠くない未来に廃墟と化してしまうだろう。にもかかわらず世界のリーダーに協調の機運はない。年々規模が大きく成りつつある自然災害もまた、人類にとっては“未知なる脅威”だ。