本日の午前零時を期して、韓国の徴用工が目指している賠償金の現金化が可能になった。裁判所が押収している日本製鉄保有の株券が現金化されるまで、まだかなり時間がかかると見られるが、手続き上は現金化に道が開かれた。ある意味では日韓関係のターニング・ポイントとなる日である。メディアはさぞこの問題を大きく取り上げると思っていたが、どのメディアも扱いはあっさりしている。韓国の扱い方は相変わらずだが、日本側の冷めた報道ぶりが目立っている。争点が多すぎていちいち反応していられないというのがメディアの本音かもしれないが、それが逆に日韓の深刻な対立を象徴しているようでもある。

ネットで見る限り産経新聞が一番敏感に反応しているような気がする。「徴用工資産現金化 日本企業の韓国離れ加速か」「日鉄、即時抗告へ 元徴用工問題で」と日本企業を中心に韓国に対する不信感に焦点を当てた記事を書いている。日経新聞は「資産売却なら韓国に対抗 政府、元徴用工問題で複数案」と淡々と事実関係を並べているだけ。朝日新聞はもっとクールだ。「元徴用工訴訟 日鉄の資産、年内にも現金化 政府報復か」との見出し。日経と同じように淡々とした記事。不思議なのはこの記事がネットのトップにはないこと。国際面の記事一覧の中に格納されており、本気で探さないと見損なってしまいそうなところに置いてある。

毎日新聞は「資産売却命令の検討本格化 元徴用工問題で韓国裁判所 公示送達発効」とのタイトル。朝日同様国際面の奥の方にある。読売新聞に至っては記事そのものが見つけられなかった。本誌ではなくネット上の扱いでありこれが社の編集方針とは思えないが、扱いが小さいことは間違いない。これに対して韓国はどうか。中央日報(日本語版)はネットのトップに「日本徴用企業、韓国裁判所の資産差し押さえ確定控え『即時抗告予定』」とトップに据えている。日経新聞はこうした状況を“政冷経冷”と表現するが、文在寅大統領が続く限り日韓が折り合うことないだろう。いや、ポスト文在寅になっても同じ状況が続くかもしれない。韓国国民の文在寅化が進んでいるような気配がある。