世界は未曾有(みぞう)の食糧危機に向かって突進している。今年、飢餓に苦しむ人は、最悪のシナリオでは従来予想より1億3200万人多くなるとの報告が発表された。前年比の伸びは、今世紀のどの年の増加分と比べてもその3倍を超える。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴い、食品サプライチェーンが一変し、経済は失速、消費者の購買力が低下している。1日に飢えで死亡する人の数は、年末までに新型コロナウイルス感染症(COVID19)による1日の死者数を上回るとの予測もある。

  ドレクセル大学のセンター・フォー・ハンガー・フリー・コミュニティーズでディレクターを務めるマリアナ・チルトン氏は、「この危機は数世代にわたって傷跡を残すだろう」と語る。「2120年になってもまだ、この危機が話題になっているだろう」と述べた。

  新型コロナが経済にもたらす苦しみに加え、ロックダウン(都市封鎖)とサプライチェーンの遮断は食品の流通に深刻な問題をもたらした。突然の外食敬遠で食材需要が消失し、行き先を失った牛乳や卵など、大量の農産物が廃棄されている。

relates to 新型コロナ、世界を未曾有の食糧危機に-食品廃棄の一方で飢餓急増
牛乳を廃棄する英国の酪農農家、リオデジャネイロの市場でゴミ箱からみかんを拾う住民、ウガンダの市場で腐敗するジャックフルーツ撮影: Jason Alden, Leonardo Carrato, Badru Katumba/Bloomberg

原題:Covid Threatens Bigger Death Toll From Starvation Than Infection(抜粋)