• パンデミックの先を見据え成長に賭けている公算大-アンバーザデ氏
  • 海外勢がインフレに強い会社に注目するきっかけにも-ピクテ
資産家ウォーレン・バフェット氏
資産家ウォーレン・バフェット氏 Photographer: Scott Eells

資産家ウォーレン・バフェット氏による日本の商社株への60億ドル(約6350億円)規模の投資は、外国人投資家をバリュー株の比率が高い日本の株式市場に呼び戻すきっかけとなる可能性がある。一部のストラテジストらはこう指摘する。

  米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大商社株をそれぞれ取得これはバークシャーが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の先に目を向け、世界の成長に賭けている可能性が高いことを示していると、アシンメトリック・アドバイザーズのシニアストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は指摘した。

  同氏は「シクリカル(景気循環)的性質が非常に強い日本市場を考えると、商社株への賭けはバフェット氏が景気サイクルが底を打とうとしていると見込みパンデミックの先を見据えていることを示していると思われる」と分析。「バリュー株がグロース株をアウトパフォームし始めれば、投資家は日本株に注目し始めるだろう。これはバフェット氏の投資以上の大きな変化となるだろう」と語った。

Japanese shares at steep discount to history versus global peers

  日本は世界のバリュー投資家にとって賢明な選択のように見受けられる。日本株のバリュエーションは世界との比較で、過去の平均よりもかなり低い水準にある。少なくとも予想株価収益率を見るとそうだ。ブルームバーグがまとめたデータによれば、工業株、金融株、素材株など伝統的なバリュー銘柄はTOPIXの約37%を占めている。

  31日の取引でバフェット氏が購入した商社株はいずれも大幅高。TOPIXも上昇したが、同指数は年初来で6%安と、MSCI・オール・カントリー・ワールド指数(ACWI)の4%高に対して出遅れている。

バフェット氏が日本の5大商社に投資、「相互利益の機会に期待」 

  30日に90歳になったバフェット氏は今回の商社株の前にも最近、バリック・ゴールドなど商品関連銘柄を購入していた。ピクテ投信投資顧問シニア・フェローの市川眞一氏は、バークシャーは最近、インフレに備えてポートフォリオをシフトする動きを見せているとした上で、日本の商社は資源トレードなどに強みがあり、インフレに強いビジネス構造になっていると指摘した。

  バークシャーの今回の投資については、「海外勢を中心に投資家が連想でインフレに強い(日本の)会社に注目するきっかけになるだろう」と話した。

原題:Buffett’s Bet Paves Way for Japan as a Global Value Trade(抜粋)