菅政権が掲げた規制改革に大きな反応があるようだ。菅首相が河野規制改革担当相に指示したとされる目安箱が設置され、投函が相次いでいるという。組閣後の記者会見が終了したのが昨日の未明、午前1時45分ごろ。午後の3時半には河野大臣が定例の記者会見を行った。その場で大臣は「行政改革目安箱(縦割り110番)」を自身の公式サイト上に設置したことを発表した。それから3時間後、午後6時に再び会見が開かれ「もう700通くらい来まして、目安箱が破裂しそうだなという状況」とYAHOOニュースが伝えている。国民も大きな関心を持っているのだろう。縦割り、既得権、前例主義が日本中に蔓延していることを浮き彫りにする動きだ。総論賛成、各論反対の規制改革。結果が出なければ河野大臣の評価は間違いなく落ちるだろう。

昨日この欄でメディアの既得権と前例主義を批判した。「縦割り110番」の活況に刺激され、再度のメディア批判。昨今の新聞・テレビを見ながら思うことは、取材競争の形跡がほとんど見られないことだ。すべてのメディアに目を通しているわけではないから、当然「そんなことはない」という異論・反論は想定している。その上であえて書けば「特ダネ」らしきものがほとんどない。テレビも新聞も内容はどれもこれもほとんど同じ。テレビに至っては他局が少し前に放映した面白ネタを、後日まるで独自ダネのように取り扱っている。公共の電波を使ったマネッコ競争のオンパレードだ。新聞もそうだ。斜に構えた政権批判っぽい記事が一面を飾る。その割に読ませる記事が少ない。「なるほど、そうだったのか」読んで腑に落ちる記事にお目にかかる機会はトント少なくなっている。

その割に記者会見は異常に多い。組閣の日、深夜の会見で河野大臣は抱負を聞かれ、「こんなものさっさとやめたらいい」と喝破したのは既得権になっている記者会見だ。なぜこんなことが起こるのか。最大の要因は再販制度だ。報道の自由を盾に新聞は販売価格を指定することが認められている。結果、競争が排除され既得権と前例主義を守ることがメディアの重要な要素になった。競争がなくなったのは販売価格だけではない。取材競争もなくなった。新聞の一面で働き方改革の重要性を説きながら、官邸もメディアも深夜の長時間労働を率先垂範している。それを異常だと言った河野大臣を朝日新聞は「異端児」と見出しにたてた。庶民の感覚から乖離しているのは大臣ではなく朝日新聞のほうだ。この際、規制改革の一環として新聞の再販制度を廃止すべきだ。行政改革からはそれえるが、みんなで目安箱に投函しよう。