中国外務省によりますと、習近平国家主席は20日夜、オンライン形式で開かれたAPECの首脳会議で演説し、「世界とアジア太平洋地域は大きな変革期にあり、新型コロナウイルスの感染拡大がそれを加速させている。

世界経済は低迷し、経済のグローバル化は逆風にさらされ、単独主義や保護主義が台頭している」と述べました。

その上で、「自由で開かれた貿易や投資を促進させ、早期にアジア太平洋地域の自由貿易圏を構築しなければならない。中国はRCEP=東アジアを中心とする地域的な包括的経済連携の署名を歓迎し、TPPに加入することを積極的に検討する」と述べ、日本やオーストラリア、カナダなどが加盟しているTPPへの参加に意欲を示しました。

中国は、アメリカとの対立が深まる中で、アジアにおける自由貿易の枠組みづくりに積極的な姿勢を示していて、今月15日には、みずからが参加するRCEPが合意するなど存在感を高めています。

アメリカが離脱したTPPへの参加に習主席が前向きな態度を表明するのは初めてで、アジア太平洋地域での自由貿易の枠組みを主導したい狙いがあるとみられます。中国の習近平国家主席が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加に意欲を示したことについて、外務省の幹部は、「関税や貿易のルールなど、TPPの高い基準を満たす国や地域に対してTPPは開かれていると言っている。ただ、中国がすべての基準を満たすことができるかどうかはいろいろな見方がある」と述べました。