けさ目についた世界の指導者の三者三様。まずはロシアのプーチン大統領。きのう記者会見を行った。ロイターによると「野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を巡る毒殺未遂事件について、ロシアの情報機関が関与したという説は米国による陰謀で、ナワリヌイ氏は標的になるほどの重要人物ではない」と述べている。「標的になるほどの重要人物ではない」という言い方が面白い。ナワリヌイ氏の評価を下げることで事実関係を否認するやり方。喧嘩相手に「お前に興味はない」と宣言することと一緒で、相手の評価を下げれば下げほど疑惑は拡大する。興味があれば「殺害していただろう」とも語っている。英調査報道機関は「ナワリヌイ氏を数年にわたって監視してきたロシア連邦保安局(FSB)の暗殺チームが特定された」としている。

フランスの大統領は新型コロナの陽性が判明した。今後7日間の隔離措置が取られるが、職務はリモートで継続するとロイターは伝えている。マクロン氏の行動範囲は広い。先週は10、11日にブリュッセルで開催されたEU首脳会議に出席し、各国の首脳らと接触。今週に入ってからは、ミシェルEU大統領やスペインのサンチェス首相らと昼食を共にしたほか、ポルトガルのコスタ首相と会談している。他にもあるだろう。一国のトップが感染するとその影響は計り知れない。首脳会議でクラスターが発生していれば事は重大だ。同席したメルケル首相は陰性が確認されている。スペインのサンチェス首相も陰性だが、24日まで自主隔離に入るという。ポルトガルのコスタ首相、妻のブリジットさんもいまのところは陰性。この数日間マクロン大統領と濃厚接触したカステックス首相は自主隔離に入るそうだ。

もう一人の注目人物は英国のジョンソン首相だ。EUとの貿易協議は依然打開のメドが立っていない。欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話協議が終了したあとメディアに対し、「われわれは公平な競争環境でEUの合理的な要求に対応すべくあらゆる努力をしている。しかし相違は縮まったものの、一部の根本的な分野は難しいままだ」と語った。英国とE U、どちらの言い分が正しいのかまったくわからない。対立点の一つは漁業権。魚たちは人為的に策定した領海に関係なく泳ぎまくる。インターナショナルだ。それをめぐって英国とE Uはローカルに争っている。おそらく魚たちはほくそ笑んでいるだろう。過去を振り返れば、英国とE Uの交渉はまとまりそうにないとの結論が見えたところでまとまる。合意の時期が近づいている気がする。ついでにもう一人、高級ステーキでの会食が批判された菅首相はきのう、公務を終えてまっすぐ議員宿舎の私邸に帰っていった。