日本時間の今夜、FOMCが開かれる。ワクチンの接種拡大で米国では感染が徐々に抑制されつつある。これに伴って経済も動き始めており、気の早いマーケットは景気回復に伴う物価上昇、金利の先高予測が強まっている。つれて為替がジワジワとドル高にシフトしそうな雰囲気。これを必死に押さえつけているのがFRBだ。パウエル議長は景気が回復過程にあることは認めつつ、失業率など米経済に潜在するマイナス要素を考えれば、金利が一本調子で上昇を続けることはない。景気回復を当て込んだマーケットの金利先高予想は間違い。ありていに言えばこういうスタンスだ。一時ドル高に賭けていた投機筋は溜め込んでいたドルを手放し、FRBのロジックに屈した格好になっている。だが、ここにきてドル高が再び頭をもたげてきた。パウエル議長はこの動きにどう答えるのだろうか。

まず、きょうのニュース。食品メーカーの「キユーピー」はきのう、主力商品のマヨネーズを7月から最大で10%程度値上げすると発表した。NHKが伝えている。値上げの理由は主な原料である食用油の値上がり。原料となる大豆などの価格が、景気回復に伴う中国の需要増加を理由に値上がりしている。さらに米国など主な産地の天候不順が重なり、価格上昇に拍車をかけている。米国の商品市場ではきのう農産物価格が急騰した。ブルームバーグ(BB)によると「世界の食卓を支える小麦とトウモロコシ、大豆はいずれも26日、2013年以来の高値を付けた。先週の相場急騰に続くもので、投機を背景としたバブル化を警告する向きもある」と伝えている。投機は何もないところでいきなり起こることはない。何かが燻っていることを敏感に感じ取った投機筋が、先回りして資金を注ぎ込んでいるのだ。

商品市場がバブル化している背景にあるのは景気回復と気候変動に伴う生産の停滞だ。BBは「乾燥した天候は米国やカナダ、フランスの小麦と、ブラジルのトウモロコシに悪影響を及ぼす一方、アルゼンチンでは雨が大豆の収穫を遅らせている。米国の穀倉地帯がこの夏、干ばつに見舞われるとの懸念も相場高騰の背景にある」と解説する。気の早いマーケットからは「年内にもテーパリング(金融緩和の縮小)が始まる可能性がある」といった声も漏れはじめている。巨大な失業者の存在を重視するFRBと景気回復や異常気象に伴う需給の逼迫を重視するマーケット、金利や物価の先行き感は真っ向から対立している。そんな中でキューピーは値上げに踏み切った。この先どう読めばいいのか、まずは29日未明に予定されているパウエル議長の記者会見に注目。