きのう、きょうと、久しぶりにうんざり感に覆われている。言うまでもない三菱電機の不正検査発覚だ。まずはきのうのニュース。NHKは次のように伝えている。「大手電機メーカーの三菱電機は、製造している空調設備をめぐり性能などを確かめる検査で不正があったことを明らかにしました。不正は30年以上続いていた可能性があるということです」。一瞬、目を疑った。「不正は30年以上続いていた可能性がある」、なんたることかと思った。どうして30年もの間、発覚しなかったのだろう。製品の安全性に問題はなかったのか、次々と疑問が湧いてきた。過去に何回も同じようなニュースを見てきた。日本を代表するメーカーで次々と発覚する不正の実態。ものづくり大国・日本の本当に嘆かわしい実態を改めて思い知らされた。

せめてもの救いは、問題が発覚した端緒が内部通報や外部の指摘ではなく、会社側のチェックだったという点だ。日経新聞によると、長崎製作所の品質改善活動の一環で実施した社内調査で不正が明らかになった。「作業工程の自動化システムの導入に向けて、試験結果を書類に記載する手順などを整理する際にみつかった」とある。「空調などの装置は出荷前に顧客の指定にそって防水、耐電圧などの性能を検査する。今回は、仕様書とは異なる温度や湿度の条件で検査したり、必要な検査をせず架空の数字を使ったりしていた」。文字通りの不正だ。「必要な検査をせず架空の数字を使ったりしていた」とあるから、データの捏造までやっていたわけだ。こんなことまでして不正に手を染める理由は一体何か、記事を読みながらそこが知りたくなった。

「どうして発覚しなかったのか」、疑問に思う方が変なのかもしれない。不正は定着し日常化していた。こうなれば、よほどのことがない限り発覚しないだろう。会社側はそれでも「製品の安全、機能、性能に影響はない」(日経新聞)と説明している。これも腑に落ちない点の一つだ。これが事実なら検査をやる必要はないのでは、そんな気がする。会社を擁護するつもりはないが、コストをかけてまで不必要な検査をすることはない。やめようと主張すべきだ。国が義務付けているから不必要でもやらざるを得ないというなら、それは別の問題になる。不正検査は認めるが、製品の安全性に「問題ない」と自信を示す。これって一体どういうこと。技術は進歩するが検査は旧態依然と言いたいのか。会社からもメディアからも、納得できる説明がない。