梅雨の鬱陶しい空気が日本中を覆っているが、そんな空気をぶっ飛ばすような面白い記事があった。投げて、打って、ベーブルース以来の二刀流で全米に旋風を巻き起こしている大谷翔平。彼は二刀流ではなく、三刀流だと言うのだ。Bloombergが今朝配信した記事、「大谷翔平は『リアル三刀流』、投げて打って株価も上げるショータイム」。ショーヘイがぶっ飛ばすのは梅雨空だけではないようだ。低迷する日本企業の株価にも喝を入れている。これを見て岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は「投げて、打って、株価も上げてとなったら三刀流だ」と絶賛している。何かにつけ低迷が代名詞になっている日本。大坂なおみに松山英樹、これに大谷翔平も加わって暗雲を切り裂いていく。久しぶりに気分は「いいね」の連打となった。

ブルームバーグの記事を紹介しよう。「スポーツ用品メーカーのデサントやアシックスを含む大谷がスポンサー契約を結んでいる5社の株価バスケットは、大谷が歴史をつくった4月26日以降に23%上昇し」とある。スポンサー企業の株価上昇は、「ブルームバーグ・ワールド・アパレル指数の上昇率(9%)の2倍以上だった。TOPIXの同期間の上昇率は1%にすぎない」。大谷は本塁打で両リーグトップを走るが、大谷銘柄の株価は快音を轟かせているといっていいだろう。もちろん株価は色々な要素で動く。大谷要素以外にも業績的な裏付けがあるかもしれない。だが、ムードで動くのも株価だ。連日の活躍が大谷銘柄の株価を暴騰させている。間違いなく大谷効果だ。これほどの活躍を誰が予想しただろうか。予想した会社がある。スポンサー契約を結んでいる5社だ。

その一つ伊藤忠商事傘下のデサント。記事によると、大谷が北海道日本ハムファイターズでプロデビューした翌年の2014年から、トレーニングウエアを供給する契約を結んでいる。前出の有沢氏、「デサントにはちょっと大谷効果が出ているという気がする。株価の動きを見ていると、(上昇が)活躍し始めた時と重なっている」と話す。もちろん株価上昇の背景は大谷だけではない。「業界を先導する米ナイキの好業績もある」(同記事)ようだ。ナイキの株価は最近上場来高値を更新したが、ポストコロナの経済戦争を先取りする動きのようだ。コロナの感染拡大という最悪の状況の中で先手を打つ、これが先見の明というやつだろう。日本企業の多くもいま虎視眈々とここに焦点を当てていると思う。その成果が陽の目をみることを期待しながら、「三刀流」のショウヘイで鬱陶しい梅雨をやり過ごすことにする。