任期満了に伴う横浜市長選は22日に投開票が行われ、無所属新人で元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主推薦=が、現職と新人の計7人を破り、初当選を果たした。市選出の菅義偉首相にとって、側近で自身が支援した前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)が野党系候補に敗れたことは打撃となる。衆院選を前に、自民党内で「選挙の顔」となることに疑問の声が広がりそうだ。

IR、民意でストップ 山中氏「誘致しない宣言」―横浜市長選

 投票率は49.05%で、前回を11.84ポイント上回った。
 過去最多の8人が争った選挙戦で、林文子市長(75)が進めてきたカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致をめぐって論戦が交わされ、山中氏ら6人の新人が反対や取りやめを訴えた。また、首相が小此木氏の支援に動いたことで、感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルスへの対応を含めた政権運営の是非も争点に浮上した。

 山中氏は、立民の推薦に加え、共産、社民両党の支援を得た「カジノ反対の野党統一候補」として選挙戦に臨んだ。データ分析の専門家としてコロナ対策に取り組んできた経歴もアピール。政権批判票を幅広く取り込んだ。

 小此木氏は「IR取りやめ」を明言。自民党の大半の市議と公明党から実質的な支援を受けた。しかし、衆院議員として所属した自民は、市議会で林市長と二人三脚でIR誘致を進めてきた経緯があり、取りやめ方針への理解が広がらなかった。林氏は地元経済界と一部の自民市議の支援を得て、3期12年の実績を訴えたが及ばなかった。

 知名度が高い元長野県知事の田中康夫氏(65)、前神奈川県知事の松沢成文氏(63)らもIR反対を主張したが、浸透しなかった。