アフガニスタンの首都カブールの国際空港付近で起きたテロ攻撃を受けて、各国首脳や国際社会からは26日、非難の声が上がった。この攻撃を巡っては、過激派組織「イスラム国」(IS)の支部組織が同日、SNS上で犯行を認める声明を出している。

 英国のジョンソン首相は英メディアの取材に「卑劣だ」とした上で、自国民や現地スタッフらの救出作戦を継続する意向を示した。ジョンソン氏はさらに「残された時間内に、できるだけ早く、かつ効率的に退避作戦を続けることが重要だ」と強調。「テロ攻撃への脆弱(ぜいじゃく)性は常にある」と認め、「残念ながら、私たちが備えなければならないものだ」と述べた。

 ドイツのメルケル首相は、「安全と自由を求め、出発しようとしている人々をテロリストは狙った。非常に緊迫した状況下での極めて卑劣な襲撃だ」と批判。情勢が緊迫化していることから、メルケル氏は28日から予定していたイスラエルへの訪問を中止した。ドイツ政府は26日、市民らのアフガニスタンからの退避作戦を終えた。16日以来、ドイツ軍などに協力した現地スタッフや家族なども含め、計45カ国の約5300人を退避させた。うち、アフガニスタン人は約4400人で、半分が女性という。

 クランプカレンバウアー国防相は26日、作戦終了後も、残る関係者が安全に出国できるよう「できる限りの努力をする」と述べた。アフガニスタンの周辺国と安全な出国方法について調整を続ける方針で、マース外相は29日以降、タジキスタン、ウズベキスタン、パキスタン、カタール、トルコを訪問する。

 フランスのマクロン大統領は「テロ攻撃を最大限の強さで非難する。危機に直面したアフガニスタン人への人道支援と保護を続ける」との声明を出した。

 約600人の兵士をアフガニスタンに駐留させていたとされるトルコのチャブシュオール外相は「命が失われたことを深く悲しんでいる。凶悪なテロ攻撃を強く非難する」とツイッターに投稿。イタリアのドラギ首相は「恐ろしく、卑劣な攻撃」と犯行を非難する声明を出した。

「テロを再び活発化させることがあってはならない」

 米国とともにアフガン駐留軍の撤退を進めてきた北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はツイッターに「テロ攻撃を強く非難する」と投稿。「できるだけ多くの人々を、できるだけ早く安全な場所に退避させるのが優先課題であることに変わりはない」表明した。

 欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表も「安全を求める人たちへの卑劣な攻撃を強く非難する。EUはアフガニスタンの人々とともにある。国際的なパートナーとともに、テロとの戦いを続ける」とツイッターに書き込んだ。EUの大統領にあたるミシェル首脳会議常任議長は「不安定な(アフガニスタンの)状況がテロを再び活発化させることがあってはならない」と指摘した。

 また、国連のグテーレス事務総長は、報道陣の取材に「恐ろしいテロ事件を可能な限り強く非難する。犠牲になった人びとに哀悼の意を表する」と声を震わせた。国連のデュジャリック報道官によると、26日昼までに、国連職員が被害にあったとの情報はない。デュジャリック氏は「アフガニスタンの現場における状況の不安定さを強く示すものだが、アフガニスタン人への緊急支援を続ける我々の決意を高めるものだ」と述べた。(ロンドン=金成隆一、ベルリン=野島淳、ブリュッセル=青田秀樹)