「二階堂幹事長外し」をきっかけに、きのうからずっと国内政局に絡むニュースを追っているのだが、着地点はなかなか見えてこない。にわか政治記者になったつもりでニュースを眺めているが、勇み足あり、誤報あり、はやとちり・勘違いあり、一向に結論が見えてこない。政治部記者にとっては確かなニュースソースと政局を見る目が試される正念場だろう。外野席にとってはどのメディア、どの記者がより正確な情報を発信できるか、記者とメディアの品定めにはうってつけの機会でもある。とりあえずは、きのうこの欄で書いた個人的な予測の訂正から。「次期幹事長に岸田氏を起用すれば、岸田氏は総裁選に立候補する大義名分を失うことになる。これが菅氏の最終的な着地点ではないか」、この予想はあっけなく外れた。日経新聞(Web版)によると岸田氏は幹事長人事について、「受けることは絶対にない」と述べている。

「二階堂外し」は誰が火をつけたのか。菅首相自ら発案したとすれば、同首相の“剛腕ぶり”は予想外ときのう書いた。たまたまYouTubeをみていたら、8月18日付けの「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」で二階堂外しが話題になっていた。産経新聞元政治部長でジャーナリストの石橋文登氏が「二階堂幹事長を外して河野太郎氏か高市早苗氏を起用すれば、菅首相を取り巻く雰囲気はガラリと変わる」との見立てを語っていた。石橋氏と菅氏が親しい関係にあるかどうか知らない。ただこの時点ですでに二階幹事長外しが、一部ジャーナリストの間で話題になっていた。二階幹事長を交代させるという菅首相の一見ドラスチックなシナリオも、永田町では既成の事実だったのかもしれない。石橋氏は二階氏を評して「ビジネス親中派」と分析、「自由で開かれたインド太平洋構想など頭の片隅にもない人」とこき下ろしていた。

いずれにしろ二階幹事長外しを柱とした自民党役員の改選構想は、内閣改造や解散総選挙に連動しながら一気に政局のど真ん中に躍り出た。昨日の段階では解散は任期満了解散と見られていたが、それがけさのニュースでは「9月解散説急浮上」との観測記事に急変した。政治部記者は全貌がわからないまま振り回されているのではないか。そんな気もする。いずれにしろ永田町も官邸もかなり混乱している様子。菅首相がきょう午前中のぶら下がり会見で解散説を否定するという慌ただしさだ。メモに目をやりながら「最優先は新型コロナ対策だ。今のような厳しい状況では、解散ができる状況ではない」(読売新聞)、いつもの決まり文句だ。週明け6日か7日に党役員人事を断行するとの日程は決まっているようだ。にわか政治記者もいましばらく日本の政局に付き合うことにする。