【北京、ニューヨーク時事】米国の要請でカナダ当局に拘束され保釈中だった中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏(49)の監視が24日解除され、孟氏は25日、チャーター機で帰国した。孟氏の逮捕直後に中国当局が拘束し、スパイ罪で起訴していたカナダ人2人も解放され、カナダに到着した。

 米中間の火種が一つ解消されることになり、悪化していた中国とカナダの関係も改善に向かう見通しだ。ただ、米側はファーウェイの法人に対する起訴は維持しており、同社は25日の声明で「訴訟で自らの権利を守る」と徹底抗戦の姿勢を示した。

 孟氏は2018年12月の逮捕後、米国で起訴された。米国の対イラン制裁を逃れるため、金融機関に虚偽の説明をした銀行詐欺などの罪に問われたが、米司法省との間で孟氏の起訴を猶予する司法取引が成立し、24時間監視の保釈状態が解かれた。

 今月10日の米中首脳電話会談以降、両国間には一部の問題で協調する機運が生まれている。習近平国家主席は21日の国連総会でビデオ演説し、バイデン米大統領が重視する気候変動問題をめぐり、国外での石炭火力発電所の新設に関与しない方針を初めて表明した。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は25日、中国版ツイッター「微博」で孟氏の帰国を「歓迎する」と表明。同省の華春瑩報道局長は談話で「中国国民への政治的迫害事件で、目的は中国ハイテク企業圧迫だ。孟さんに対する『詐欺』との訴えは完全なでっち上げだ」と米側を改めて批判した。孟氏をめぐっては、謝鋒外務次官が今年7月、訪中したシャーマン米国務副長官との会談で、カナダから米国への引き渡し請求を撤回するよう要求していた。