与党で合意した18歳以下への10万円給付の所得制限をめぐり、岸田文雄首相が「世帯主」の年収が基準と誤認して発言し、混乱を広げている。松野博一官房長官は、世帯内で所得が最も高い人の年収と軌道修正したが、背景には合意の分かりにくさがあり、見直しを求める声も出ている。

松野長官、問われる調整力 政権の番頭役、行方左右

 与党合意は、「児童を養育している者」の年収が960万円以上(モデル世帯)の場合に、対象から外す内容。児童手当の所得制限に倣ったもので、「児童を養育している者」は基本的に「所得が高い方の親」の意味だ。

 一方、首相は12日に報道各社から「児童を養育している者」の意味を問われ、「世帯主」と答えた。世帯主は収入額にかかわらずなることが可能なため、この発言を受けて「世帯主を変えれば受給できるのではないか」との臆測も広がった。

 政府は打ち消しに動く。松野氏は16日の記者会見で、首相の発言について「世帯合算ではないという意味」と釈明。「首相は児童手当の仕組みを活用すると言っており、主たる生計維持者の収入を基準に判断する」と修正を図った。

 もっとも、こうした誤解は合意の分かりにくさも原因だ。合意に従えば、夫だけで年収970万円の世帯は対象外となる一方、夫と妻でそれぞれ年収900万円の世帯は対象となる。

 合意には不公平との批判が根強く、自民党内でも評価は割れる。世耕弘成参院幹事長は16日の記者会見で「スピードを重視する以上やむを得ない」と政府方針を支持。これに対し、福田達夫総務会長は「合算するのが常識的だ」と異論を唱えた。