今日から補正予算をめぐって本格的な国会論戦が始まる。補正予算は総額が55兆円を超えるという巨額の規模だが、その中身となるとなんとなく覚束ない。最たるものは18歳未満を対象とした10万円の給付金支給だ。現金とクーポンに分けて支給するというものだが、来年3月に5万円分をクーポンとして支給すると、事務経費が約1000億円かかるという。これだけあれば、単純計算だと100万人に10万円支給できる。庶民感覚からすればクーポンという発想そのものが、馬鹿げたものに見えて仕方ながい。きょうから始まる予算審議では、ここが大きなポイントになる。聞く耳を持つ岸田首相がどんな答弁をするのか、まずは聞いてみたい。泉新代表となった立憲民主党をはじめ野党の主張も注目だ。このほか北京五輪の外交的ボイコット、新しい資本主義とは何か、岸田首相の答弁をじっくり聞いてみたい気がする。
北京五輪の外交的ボイコットも大きな争点になるだろう。米国をはじめ英国、カナダ、オーストラリアがすでに米国に追随して外交的ボイコットに踏み切ると表明している。常々日米同盟が基軸と強調した日本政府は、先週閣僚の派遣は行わない方向で調整する方針を示しているが、まだ正式な決定を下してないない。岸田首相はいま「米国の決定に従わざるを得ない」が、「中国との関係悪化は招きたくない」という2つの矛盾したテーマの間で葛藤をしているだろう。正式決定した暁には何を基準に判断を下したのか、決断までのプロセスを聞いてみたい気がする。主流メディアは多分そんなことは質問しないだろう。すでにリークベースの報道がなされており、政府としても世論の反応を見ている。ウイグル、香港、台湾、西沙・南沙問題などをみれば、外交的ボイコットは当然という気がする。ただ、現実はそれほど単純ではないだろう。それだけに岸田首相から「日本の主張」をじっくり聞きたい。
「新しい資本主義」はどこにいったのだろう。個人的には令和の所得倍増計画に大いなる期待を抱いているのだが、就任早々この問題は影を潜めてしまった。「いまやG7に名を連ねる資格はない」ともいわれるほど、日本経済の低迷は目を覆いたくなるばかりだ。それだけに総裁選で表明した令和の所得倍増計画は、キャッチコピーとしても際立っていた。これで100代目の首相に選出されたといっても過言ではないだろう。首相になった途端に言わなくなった。これは明らかに公約違反だ。野党はそこを本格的に追求すべきだ。できる、できない、の問題ではない。岸田首相が日本経済をどうみているか、これからどうしたいのか、そこがじっくりと聞きたい。所得倍増に向けた秘策があるなら、是非とも披瀝してもらいたい。16日に臨時国会は閉幕する。「期待するだけ野暮だ」という内なる声を粉砕してほしいのだが・・・。
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