緊迫泊するウクライナ情勢。けさのポイントはロシアの要求に対する米国の回答が文書で示されたことだ。ロイターによると、米国のサリバン駐ロシア大使は26日、モスクワのロシア外務省を訪れ、ロシアが要請している安全保障に関する米政府の回答を文書で提出した。ブリンケン国務長官はこの件に関しワシントで記者団に以下のように述べている。「米国側の回答はロシアが選択した場合に真剣な外交の道筋を明示し、ロシアが提起した懸念を原則的かつ現実的に精査していると明らかにした。米国がロシアとの対話にオープン」(ロイター)とも述べた。これだけでは何を言いたいのか意味不明。時事ドットコムによると「米側は詳細な回答内容を明らかにしていないが、書面でこれまでの立場を繰り返し、ロシア側の要求を拒否したとみられ、ウクライナ情勢をめぐる緊張が続きそうだ」と推測している。

メディアの報道内容はどこもほとんど同じ。具体的な回答内容に言及しているものはない。内容がわからない以上、文書の中身を夢想し想像し空想するのは自由だろう。個人的にはこの解答によってウクライナ情勢が好転するとまでは言えないにしても、「緊迫の度を増す」情勢はこれ以上悪化しないのでないかと期待する。論拠は「ロシアが選択した場合に真剣な外交の道筋を明示」していると、ブリンケン国務長官が発言していることだ。米国の回答がロシアの要求を拒否するだけのものなら、内容を隠す必要などまったくない。おそらくプーチン大統領の心をくすぐる何らかの方策が盛り込まれているのだろう。ブリンケン国務長官は「数日以内にロシアのラブロフ外相との会談を希望し、事態打開に向けた協議を継続していく考えを示した」(ロイター)という。ロシアが会談を拒否すれば事態は一段と悪化することは間違いない。

以下は妄想のたぐい。ネット上では一部に、バイデン大統領がロシアに対してすでに大幅に譲歩しているとの説が流れている。19日に行われた就任1周年の記者会見で大統領は、「小さな侵攻」であれば制裁も小さくなることを示唆した、ととられる発言をしている。これは明らかに失言だが、その裏で実は「大幅な譲歩」が行われたとの推測だ。邪推かもしれないがあり得る推測だ。バイデン大統領は「弱腰」との風評を避けるために裏で譲歩しながら、表では「侵攻の可能大」と危機を煽る。在ロシア大使館員の家族に退避命令を出せば、一般の人は誰でも「緊迫の度が増している」と感じるだろう。メディアは検証しないまま、“事実”と称して危機を加速する報道をする。ウクライナとロシアの国境は2014年の“政変”以来緊迫している。ウクライナのレズニコフ国防相は25日、「ロシアの脅威は8年前から大きく変わっていない」(ロイター)と主張した。ウクライナ国境の緊張はいったい、いつ始まったのだろうか。