けさニュースを見ていてプーチンにまつわる“悪夢”が蘇った。政敵であるナワリヌイ氏が暴いた“プーチン宮殿”のことだ。きっかけはロイターが配信した次のニュース。「プーチン氏やオリガルヒに『重大な』措置=米財務長官<2022年3月3日6:22午前>」。ちょっと長くなるが引用する。「イエレン米財務長官は、ロシアによるウクライナへの攻撃がエスカレートすれば、米国と同盟国は引き続きプーチン大統領やオリガルヒ(新興財閥)に対し『重大な』措置を科すと言明した」。そして「過去数週間、これら個人の多くに制裁を科し、世界にある富を特定し、凍結・没収するために、司法省や同盟国と対策本部を設立していると語った」とある。米財務省はすでにプーチンやその強力な支援者を対象に世界中にある“富”を特定している。かのプーチン宮殿もすでに調査の対象になっているかもしれない。ふと、そんな気がした。

この宮殿はプーチンの政敵であるナワリヌイ氏およびその支持者たちが危険を犯して調べ上げたものだ。2021年2月2日付で文春オンラインが詳細に報じている。タイトルは「富と贅沢にとりつかれた」1400億円“プーチン宮殿”の全貌が動画告発された!《再生回数1億回以上》」となっている。改めて読んでみた。「敷地面積はモナコ公国の39倍、円形劇場や教会、スケートリンクも完備…」とサブタイトルされている。開発に1000億ルーブル(1400億円)が投じられ、この施設の警備にはロシア連邦保安庁(FSB)の要員が配置されているという。おそらく国民から吸い上げた税金で、最高権力者である独裁者の私的な別荘を作ったのだろう。ロシアでは歴代の権力者が同じようなことをやっているようだ。

「ロシア帝国の最後の皇帝ニコライ2世はクリミア半島に離宮を所持し、家族で最後の時を過ごした。2014年に冬季五輪が開かれた保養地ソチでは、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンが別荘を構えた。そして、ソ連最後の大統領、ミハイル・ゴルバチョフはクリミア半島の黒海沿岸のフォロスに休養中の1991年夏、古参共産党幹部のクーデターにより、軟禁状態に置かれた」とある。プーチンは1400億円を投じた宮殿を建設、歴代権力者と同じように絶対的な権力と贅沢すぎる富を誇示する。こういう記事を読むと「ロシアの安全保障が脅かされている」と凄んでみせるプーチンのオパフォーマンスは、国民や世界を欺くための虚飾で塗り固められた暴言としか聞こえなくなる。国民を守ろうとしているわけではない。自分を守るための戦争だ。改めてロシア中に怒りの輪が広がる。