バイデン米大統領がロシア産原油の輸入禁止を発表したため、ニューヨーク原油先物はバレル当たり123ドル台まで急伸しました。輸入が減るなら、米国内での生産拡大が期待されそうですが、ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、米国内で稼働している石油リグ(掘削装置)数はコロナ禍前の水準を20%近く下回ったままです。大きくかじを切った欧州と同様、米国も安全保障・エネルギー戦略の抜本的な見直しを迫られています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。 

大動脈を標的に

バイデン大統領は原油やガスといったロシア産化石燃料の輸入を禁止すると発表した。米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、米国が2021年に輸入した原油のうちロシア産が占める比率は約3%。「ロシア経済最大の動脈を標的にする」とバイデン氏はホワイトハウスで表明。「プーチンの戦争にわれわれは加担しない」と述べた。英国はロシア産原油の輸入を数カ月かけて段階的に禁止する。

脱却の前倒し

欧州委員会は今年のロシア産ガス輸入需要を3分の2減らす戦略を公表した。新たな供給元の開拓やエネルギー効率の向上などの措置を組み合わせ、従来の見通しを前倒しして2030年よりもかなり前にロシア産ガスへの依存から完全に脱することを目指す。大量のロシア産ガスの代わりを短期間に見いだすのは難しい問題だ。フォンデアライエン欧州委員長は「次の冬に向けてガス供給を多様化させ、クリーンなエネルギーへの移行を加速させる。いま行動が必要だ」と語った。

EU共同発行

欧州連合(EU)は今週にも債券の共同発行計画を発表する。エネルギーや防衛関連の支出に充てるためで、相当な規模になる可能性がある。債券発行計画の準備に詳しい複数の関係者によると、同計画は10-11日にフランスのベルサイユで開催されるEU首脳会議の終了後に示される見通し。同関係者らは現在も債券発行の取り扱いや発行規模の詳細を詰めている。 

中国がロシア株取得か

中国はロシアのエネルギーおよび商品企業への新規出資や株式追加取得を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ロシア国営ガス会社ガスプロムやアルミニウム大手ルサールなどが念頭にある。中国はエネルギーと食糧の安全保障確保を進めており、取引が成立するとしても中国の輸入を強化するためで、ロシアのウクライナ侵攻に支持を示すためではないと、この関係者は説明した。

マクドナルドも

米マクドナルドはロシア国内850店舗のすべてを一時閉鎖していると発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた措置。クリス・ケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)が明らかにした。ロシア国内の従業員6万2000人への給与支払いは継続すると説明。ウクライナにある100店舗も一時閉鎖し、同様に給与は払い続けるとしている。1990年にモスクワに初出店したマクドナルドは、共産主義に対する民主主義の台頭を示す強力なシンボルとなったが、歴史的転換点に立たされている。

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