[東京 28日 ロイター] – 為替市場で円安が進行する中、日銀は長期金利の上昇を抑える姿勢を鮮明にした。日米の金利差が拡大し円安がさらに進みかねない状況だが、日銀はあくまで政策枠組みであるイールドカーブ・コントロール(YCC)に基づき、長期金利の許容上限を守る構えだ。 

<午後、国債に売り圧力>

28日の東京市場では、午後に入ると米金利が上昇し、日本の10年国債先物の価格が急落。現物市場では新発10年国債利回り(長期金利)が日銀の許容変動幅の上限である0.250%に達し、日銀は午後1時半にこの日2度目の指し値オペを通告した。いったん下げ渋った国債先物が終盤にかけて下落幅を拡大したこともあり、その後、日銀は初の連続指し値オペの実施を発表した。

市場の一部では、2月の指し値オペ発表時の10年金利の水準、プラス0.230%を超えても日銀が指し値オペに動かなかったことで、不透明感が指摘されていた。

連続指し値オペの実施が公表されたことで、明日29日以降は取引がしやすくなるとの見方が出ている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニア・マーケットエコノミストは「日銀にはオペの通知がなければ国債を売れない。オペの通知がどのタイミングであるのかわからないと、ポジション運営上、通知を待っているわけにもいかない」と話す。

<長期金利抑制へ、強い意志>

連続指し値オペを打ち出すことで、日銀は長期金利を許容変動幅の上限プラス0.25%で抑制するより強い意思を示したことになる。

ただ、今回の金利上昇は米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース加速化観測に伴う米金利の急ピッチの上昇が主因なだけに、10年金利の上昇抑制は難しいとの声が出ている。

日中の金利動向について「日銀がどこまで海外金利の上昇に伴う円金利の上昇圧力を止められるか、難しくなってきた」(大手証券)との指摘がある。

連続指し値オペは29日から31日までの予定だが、日銀は必要であれば期間を延長する可能性がある。また、すでに公表済みの国債買い入れ計画について日程の追加や金額の増額で対応することも考えられる。

<日銀、YCC堅持との見方>

28日には、日銀の2度の指し値オペと連続指し値オペの発表で外為市場では円安が急速に進んだ。YCCの下で金利の低位安定を推進する日銀とFRBの金融政策のスタンスの違いが一段と明確になったからだ。

日銀では、為替が円安に振れるからと言って、指し値オペがやりづらくなることはないとの指摘が出ている。指し値オペを実施するかの判断材料に為替動向は入っておらず、あくまで10年金利を許容上限であるプラス0.25%に抑制するために何が適切かの観点から指し値オペなどのツールを選んでいるとみられる。

JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは「円安が急速に進んだとしても、イールドカーブ・コントロールを緩めることにはならないのではないか」と指摘。許容上限を上回る金利の上昇容認や許容上限の修正には結びつかないとの見方を示した。

日銀は昨年3月の政策点検で、長期金利の過去6カ月の変動幅が0.5%の範囲内であれば日本経済に影響はないと結論付けた。鵜飼氏は「変動幅を広げるのは理屈の整合性が取れず、苦しい」と話す。

(和田崇彦 編集 橋本浩)