ウクライナは首都キーウ(キエフ)近郊でロシア兵が戦争犯罪を行ったと主張し、証拠収集を国際刑事裁判所(ICC)に求めた。現地からとされる画像には、惨殺された民間人の遺体とみられるものが映っており、欧州主要国の間で新たな対ロシア制裁を速やかに科すよう欧州連合(EU)に促す動きが強まっている。

  ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、キーウ近郊のブチャからロシア軍が撤退後、両手を縛られて同国軍に射殺された複数の民間人の遺体が路上に残されているのが見つかったとツイッター投稿で明らかにした。

  国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは声明で、チェルニヒウやハルキウ、キーウなどで明らかにロシア軍による戦争犯罪の事例を記録したと発表した。  

  ドイツやフランス、イタリアなどはロシアを非難。これに対しロシア大統領府のペスコフ報道官は、画像の多くは捏造(ねつぞう)されていると反論した。 

https://twitter.com/Podolyak_M/status/1510336853261623301?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1510336853261623301%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.bloomberg.co.jp%2Fnews%2Farticles%2F2022-04-01%2FR9N4BIDWLU6D01

  黒海沿岸の都市オデッサ(ウクライナ語表記オデーサ)では3日午前に複数の爆発が起きた。ロシア国防省は石油精製所と燃料貯蔵庫を攻撃したとしている。

  ウクライナ軍はオデーサに近い隣国モルドバのトランスニストリア地域でロシア軍が兵力を増強していると警告した。トランスニストリアの当局者はウクライナ側の主張を否定した。

  ロシアとウクライナは4日にオンライン形式で協議を再開する。ロシアの交渉団を率いるメジンスキー大統領補佐官が明らかにしたもので、中立化や非核化でウクライナ側が「より現実的」になっていると主張した。ただ、両国首脳会談に提示できる条約草案は用意ができていないという。インタファクス通信が報じた。

TOPSHOT – Smoke rises after an attack by Russian army in Odessa, on April 3, 2022. – Air strikes rocked Ukraine’s strategic Black Sea port Odessa early Sunday morning, according to an interior ministry official, after Kyiv had warned that Russia was trying to consolidate its troops in the south. (Photo by BULENT KILIC / AFP) (Photo by BULENT KILIC/AFP via Getty Images)
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  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

欧州主要国の首脳、ロシアを非難

  欧州各国政府はウクライナの民間人の遺体とされる画像を巡ってロシアを非難。フランスのマクロン大統領は、この画像は「耐え難い」とし、ロシア当局は「こうした犯罪への責任を取る必要があるだろう」と主張した。イタリアのドラギ首相も「戦慄(せんりつ)を覚えるこうした行為を断固非難する」と語った。

  ミシェルEU大統領(常任議長)は「EUによる追加制裁と追加支援の準備が進んでいる」とツイートした。

ロシア大統領府は反論  

  ロシア大統領府のペスコフ報道官は、キーウ近郊でロシア軍が戦争犯罪を犯したというウクライナ側の主張を退けた。同報道官は「多くのフェイクや仕組まれた画像があるのは明らかだ」と、テキストメッセージで指摘した。

  ロシア国防省もキーウ近郊ブチャでの民間人殺害への関与を否定。ロシア軍は3月30日にこの町を離れており、同軍が駐留していた時期に「地元住民は一人として暴力的行為の犠牲になっていない」と反論した。

ウクライナ、国際刑事裁判所に捜査団派遣求める  

  ウクライナのクレバ外相は、同国が国際刑事裁判所(ICC)に対し、ロシア軍による「戦争犯罪」を捜査するチームの派遣を求めると述べた。同相は英タイムズ・ラジオで3日、「遺体がそこかしこに転がっている」と説明した。

地雷を発見

  ウクライナの首都キーウ地域で地雷撤去に当たっている部隊は2日、3月初めに激しい戦闘のあった近郊のイルピンで643個の地雷を見つけた。同国国家緊急サービスが報告した。

対ロシア制裁、さらに強化していく方法しかない-萩生田経産相

  萩生田光一経済産業相は3日朝のNHKの討論番組で、ロシアへの制裁措置について「今の段階ではさらに制裁を強化していく方法しかない」と認識を示した。

ロシア軍が北部からゆっくりと撤退-ウクライナ大統領

  ウクライナのゼレンスキー大統領は2日早朝にキーウからビデオ演説し、同国北部からロシア軍がゆっくりとではあるが目に見える形で引き揚げつつあると指摘した。

習主席とゼレンスキー大統領の電話会談は時間の問題

  中国外務省欧州局の王鲁彤局長は2日に北京で記者会見し、習近平国家主席とウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談は時間の問題だと述べ、「常に議題になっている」と話した。 

米政府、旧ソ連製戦車移送を支援へ

  ホワイトハウスはウクライナ東部ドンバス地方の防衛をサポートするため、同盟国による旧ソ連製戦車の同国への移送を支援する。米紙ニューヨーク・タイムズが匿名の米当局者の話を引用して伝えた。当局者は同紙に対し、移送が近く始まると述べた一方で、どの国から何台の戦車が送られるかについては言及を控えた。今回の決定はゼレンスキー大統領からの要請に対応した措置だという。

米、3億ドル相当の軍装備品など追加提供

  米国防総省はウクライナに3億ドル(約370億円)相当の軍装備品と医療支援を追加で提供する。支援には武装ドローン「スイッチブレード」も含まれる。

原題:Ukraine Update: Kyiv Urges International Probe of Bucha Events

Europe Warns Russia Faces New Sanctions for ‘War Crimes’ (2)

Ukraine Update: Zelenskiy Says War Focus Shifting East and South

Ukraine Update: Kyiv Warns Russia Is Adding Troops in Moldova(抜粋)