プーチンと習近平がきのう電話で会談した。ロイターは「中国国営中央テレビ(CCTV)によると、習氏はウクライナ危機について、全ての当事者が『責任を持って』打開に取り組むべきと指摘し、危機打開を支援する意向を改めて示した」と書く。ブルームバーグは「(習氏は)中国は主権や安全保障、主な懸念事項に関連する問題について引き続きロシアと相互に支持することに前向きだ」と語った点を強調する。おまけはロシア大統領府。習氏は「外部勢力によってつくり出された安全保障上の問題に対し、根本的な国益を守るためのロシアの行動の正当性を指摘した」(ブルームバーグ)と、手前勝手なコメントを発表した。中ロ首脳会談は侵略戦争が始まって以来2回目。前回同様、相互理解を強調しながらお互いの“蜜月関係”を世界に向かって発信したことになる。

これに対抗する西側陣営。ロシアの侵攻当初の目を見張るような結束力に、一抹の不安が滲み出てきた。停戦を模索するドイツ、フランス、イタリアに対してポーランドやバルト三国など物理的にロシアに近い国々は、徹底抗戦を主張する。御年100歳近いキッシンジャー氏がダボス会議でオンライン講演。ウクライナは領土を譲歩して停戦に踏み切るべきだとの趣旨の発言をして物議を醸した。だが、これが西側諸国の首脳の間にある一つの考え方であることは間違いない。オースティン米国防長官が「ロシアの弱体化を願っている」と本音を語ったが、弱体化を目指す明確な戦略が西側にあるようには見えない。バイデン大統領はきのうゼレンスキー大統領と電話で会談、新たに10億ドルの軍事支援を約束した。次から次へと連射のように飛び出す約束。だが、ウクライナのマリャル国防次官は14日、「われわれが必要だと求めた兵器のうち現時点では10%しか受け取れていない」(NHK)と語る。

大義も正義もない侵略戦争を仕掛けているプーチン。ゼレンスキー大統領以下ウクライナの人々は、自由と民主主義を旗印とする西側陣営を代表してこの悪辣な戦争を戦っている。だが支援する欧米にはここにきて、微妙な“温度差”がではじめている。エネルギー価格の高騰、物価高、食料危機、軍事支援による財政負担の拡大など厭戦気分が広がってきた。こうした事態を捉えてロシア側は「いまのままなら消耗戦となる。われわれは交渉の場を設けて合意を模索すべきだ」(15日付、ロイター、「焦点:ウクライナ支援で欧米の結束に乱れ」)。折に触れて停戦を主張するロシアの情報戦略。領土拡大を目指す腹黒い意図は見え見えだ。これに対して結束力が問われる西側陣営には、陰に陽に “温度差” 芽生えつつある。多様な意見を尊重するという点ではメリットだが、一枚岩の巨悪に立ち向かうにはあまりにもひ弱だ。ナチに対抗したチャーチルのような指導者はいないのだろうか・・・。