ドイツのエルマウで開かれていた先進7カ国首脳会議が閉幕した。ロシアのウクライナ侵攻に対峙する西側の結束力を維持したほか、イタリアのドラギ首相が提唱した原油価格の上限設定検討など一定の成果を示した。だが、ウクライナ戦争終結に向けた具体的な方策は検討されず、G7の限界も改めて浮き彫りになった。そんな中でロシアに対する経済制裁に加わっていない5カ国(団体を含む)を招待し、先進7カ国として気配り、気遣い、目配りしていた姿が印象的だった。プーチンは15日〜18日にサンクトペテルブルクで開催した経済フォーラムで講演、「西側の制裁は失敗した」と豪語している。G7も経済制裁の効果があまりないことを自覚しているのだろう。だから経済制裁に否定的なインド、インドネシア、南アフリカ、アルゼンチンとアフリカ連合(AU)議長国のセネガルを招待した。
前記の4カ国はG20(主要20か国・地域)の加盟国でもある。11月にはインドネシアでG20の首脳会議が開催される予定だ。議長国であるインドネシアのジョコ大統領は、ゼレンスキー大統領とプーチンを招待する意向を示している。世界に影響力をおよぼす国際会議の実態はG7からG20に移っていると見ていいだろう。ロシアに対する経済制裁の効力は、バイデン大統領や西側首脳が上から目線でどんなに呼びかけても効かなくなっている。ウクライナ戦争が勃発した当初、国連総会(3月2日)でロシアに対する非難決議が採決された。結果は賛成141カ国、反対5カ国の圧倒的多数で採択された。だが、忘れてならないのは危険した国が35カ国、意思表示しなかった国が12カ国あることだ。合わせれば47カ国が非難決議に賛成しなかった。
4月7日に実施されたロシアの国連人権理事会理事国としての資格停止を求めた総会の採決は、欧米や日本など93か国が賛成、ロシア、中国、北朝鮮など24か国が反対、インドやブラジル、メキシコなど58か国が棄権した。決議案は賛成多数で成立したものの、ブチャなどの惨状を背景とした採決でもインドやブラジル、メキシコなど58か国が棄権しているのだ。第二次世界大戦を契機に発足した国連。その国連でロシアを公然と支持しないまでも、棄権という形で消極的に支持している国が多数存在している。こうした国々を非難することは簡単だが、米国を中心とした西側に対して“快く思っていない国々”が多数存在していることも事実だ。経済制裁が機能しない背景には東西問題以上に深刻な南北問題があるような気がする。今回のG7は取ってつけたように招待国への気遣いを見せた。だが、プーチンと同じようにG7首脳も上から目線に感じる。どうしてだろうか・・・。
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