5年に一度開かれる核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が1日、ニューヨークの国連ビルで開幕した。コロナの影響もあって会議自体は7年ぶりの開催。岸田首相は「世界の若い世代に戦争被爆への理解を深めてもらうため、国連に1000万ドルを拠出して基金を創設する」と表明した。核兵器廃絶は広島出身の首相にとってライフワークというべきもの。イニシアティブ発揮に向けて世界中の若者に核兵器の恐ろしさを訴える構想のようだ。長らく胸の中で暖めてきたのだろう。だが核兵器廃絶への道はなお遠く、かつ、険しい。首相の思いがどこまで国際社会に通じるか、立ちはだかる壁はとてつもなく大きい気がする。それでも手を拱いているよりいい。いまできることを一生懸命にやる、めずらしく岸田首相を応援している自分に今朝気付いた。

NPTはTreaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weaponsの略だ。日本語に訳せば核兵器不拡散条約となる。1970年に条約として正式に発効し、1995年にはその効力を無期限に延長することが決定されている。米ロ英仏に中国。この5カ国を核保有効として認定し、それ以外の国への核兵器拡散を防ぐことを目的とした条約だ。191カ国が署名している。国連加盟国とほぼ同数の国々が条約の趣旨に賛同している。以上はにわか勉強。なぜ5か国なのか、安保理の常任理事国と一緒だ。第二次世界大戦の戦勝国特権というやつかもしれない。それはそれとして、今回の会議の最大の目的は核拡散防止に向けた最終文書を採択できるかどうか、その1点にかかっている。ウクライナ戦争を見るまでもなく、核兵器使用が現実味を帯びている国際情勢の中で、加盟国が一致して受け入れられる文書はどんななものか、それはそれで興味がある。

関係者のコメントを拾ってみた。国連のグテレス事務総長、「人類は核兵器による全滅の恐れがある」と危機感をあらわにした。核兵器使用を匂わせるプーチン。再検討会議に向けた書簡を公表、「核戦争に勝者はおらず、そのような戦争を決して起こすべきではない」と主張している。これぞ下衆の極みか。思わず大きな声をあげそうになった。対するバイデン氏は声明を発表、「ロシアは米国との核軍縮に関する作業を再開する用意があることを示すべきだ」とやんわり誘導。ロシア外務省は「この声明は本物なのか、ホワイトハウスのウェブサイトがサイバー攻撃を受けたものなのか」と揶揄。「真剣な声明だとすれば、米国は一体誰と交渉をするつもりなのか」と疑問を投げかける。戦後の国際社会を二分してきた米ロの口角戦争。人類の悲願ともうべきN P Tはやっぱり風前の灯か・・・。