[香港/上海 25日 ロイター] – 中国政府は銀行業界に不動産業界支援を要請しているが、財務悪化を懸念する一部政府系金融機関が要請を拒んでいることが複数の関係者情報で分かった。
銀行側が懸念するのは、政府の保証もないまま、資金繰り難の不動産企業に貸し付けて焦げ付くこと、またそうした信用リスクの高い融資を巡り当局から責任を問われる事態だ。
ロイターは先週、関係筋情報として、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が不動産業界向け融資のシステミックリスクを評価するため、一部の国内・外国金融機関の融資内容を調査していると報じた。
関係者によると、当局はここ数週間、非公開会議を複数回開き、銀行や証券会社などに不動産開発業者の資金調達を支援するよう促した。中国人民銀行(中央銀行)も政府系金融機関に、相対的に強靭な不動産開発業者の資金調達を支援するよう働きかけているが、今のところ具体的な指示は出していないという。
国有銀行2行と政府系資産管理会社3社の関係者は、不動産業界を支援するよう規制当局から「窓口指導」を数回受けたものの、今年初めから不動産債券の保有高を減らしていると述べた。
<財務悪化の懸念>
中国政府は2年前に債務削減政策を掲げており、融資拡大はモラルハザード(倫理の欠如)となる。そこで当局は今年、資金調達の正常化に向けて有力建設業者に国内での債券発行を促している。
こうした債券発行で主な引き受け手になるのは銀行などの金融機関だ。だが、財務内容が比較的健全な不動産開発業者が発行する債券でも購入を見送るところもある。
上海に本拠を置く政府系資産管理会社のクレジットアナリストは「満期までの変動に耐える余裕はない。帳簿がめちゃくちゃになる」と述べた。
4大国有不良債権管理会社の一つである華融資産管理会社は、行き詰まった不動産プロジェクトを調査する任務を負っているが、黙認するケースが多いという。
一部不動産開発業者は、業界安定化に向けた国の保証が必ずしも銀行融資の拡大につながらないことを認識しつつある。
不動産開発業界関係者は、今や債券の発行は容易でないと述べた。買い手を見つけるのが難しく、投資家の多くが保有を減らそうとしているという。銀行も全ての発行者に対し十分な購入枠を持っていない可能性もあると指摘した。