期待されたコスタリカ戦、後半の37分過ぎに失点して万事休した。日本が敗北、今朝の4時(日本時間)に行われたスペイン対ドイツ戦が1対1の引き分けに終わった結果、予選グループE組は全チームに決勝進出の可能性が残った。事前の予想通りにまさに“死の組”そのままの展開。日本が自力で決勝ラウンドに進出するための条件はスペインに勝つこと。敗北すれば敗退が決まる。引き分けの場合は相手チームの勝敗、得失点差次第。可能性は極めて低くなる。結局は強豪スペインに勝つしかない。勝つための布陣で予選最終戦を戦う。単純だしこの方が作戦を組みやすいだろう。あのドイツにも勝ったのだから、勝てないこともない。大事なのは勝つために何をするか。割り切るしかない。危機的状況になればなるほど日本に勝機が生まれる。ドイツ戦はそれを証明した。あとは体調を整えるだけ。中4日ある。休養することが一番大事だ。

コスタリカ戦の敗因は明らかだ。引き気味に試合を展開するコスタリカの戦術にはまった。これは日本の典型的な負けパターン。攻めても、攻めても、強固な相手の守備を崩せない。過去にも同じパターンの試合を何回となく見せられた。日本の特徴であるスピード感が完全に封印されてしまった。いや「された」のではなく自ら「封印ししてしまった」感がある。コスタリカは必死になってボールを奪いにくるチームではない。守備陣に危機感が生まれない。自陣でゆっくり緩慢なパス回しができる。中盤も含めてとにかくバックパスが目立った。そうこうするうちに持ち前のスピード感がなくなっていった。雨あられとは言わないが、シュートの回数は多かった。だが、枠に飛んだシュートは少なく、ピタッと会うパスや矢のようなシュートも見られなかった。試合中ずっと悪い予感が頭の中を駆け巡っていた。

こういう負け方はよく目にする。日本にはまだ強固な守りを切り崩す力がない。スペインはこのチームから7点をもぎ取った。技術の差ではない。自分たちのペースで試合をしただけなのだ。力の差は歴然としている。相手に合わせることなく、自分のペースで試合をコントロールする。言葉は悪いが「自分本位」、これが日本に決定的に不足している。逆に言えば、相手に合わせる「優しさ」から脱却できていない。リーダシップの不在かもしれない、長年に渡って培ってきた伝統と言ってもいい。陸続きに敵が存在する諸外国のような敵愾心もない。「自分本位」のサッカーを確立するには時間がかかる。技術や精神力、体力の問題でもない。現時点でこれを可能にするのは“危機的状況”だけだ。ドイツ戦で見せた権田のファインセーブだ。日本チームは危機的状況になればなるほど力を発揮しやすい。勝っても負けても、2日のスペイン戦が楽しみになってきた。