今朝、情報番組(めざまし8)をみて驚いた。宮崎県の知事選で現職の河野氏が、東国原候補を破って4選を果たしたのだが、主役は敗れた東国原候補だった。票差が2万票余と僅差だった上、得票率が56.69%に達したことが話題の中心。前回の知事選に比べ22.79ポイントも増加した。この増加の主因は東国原氏の出馬にあると分析している。現職の河野氏は無所属ながら自民、立憲民主、公明の3党が推薦、社民党が支持した。これに対して東国原氏は元同県知事で知名度抜群のタレント候補だ。その意味では現職候補とタレント候補の戦いということになる。だが、東国原氏は元知事で政治経験がある。一般的なタレント候補とは若干趣を異にしている。同番組のコメンテーターである橋下徹氏は、「この選挙は既成政党対無所属の戦い。東国原氏に集まった票は、無所属政党が成立する可能性を示している」との趣旨の発言をした。

縁もゆかりもない宮崎県の知事選。これまで何の関心もなかった。だが、この番組の取り上げ方をみてはたと気が付いた。この選挙の実質的な勝者は東国原氏ではないか。現に「めざまし8」は勝者である河野氏にはほとんど触れず、投票率激増を呼び込んだ東国原氏に焦点を当てていた。勝者ではなく敗者が主役である。おそらく東国原氏が立候補しなければ、投票率は30%ちょっとか、ひょっとすると30%を割り込んでいたかもしれない。投票率低迷の要因は河野氏だけの問題ではないだろう。中央政界で対立している自民党と立憲民主党が手を握り、それに公明党がのる。そのうえ社民党までが支持している。河野氏陣営にないのは共産党と国民民主党ぐらいか。既成政党のオンパレードである。対する東国原氏。1期4年で逃げるように宮崎を去った同氏に対する批判がいまだにあると、一部新聞が敗因を分析していた。2万票の僅差、県民に拒否感がなければ勝てたかもしれない。

東国原氏は以下のように敗因を語る。「残念です。完全に私の力不足です。自分の資質や素養などが足りなかった。選挙戦の終盤になって県民の皆さんの反応が非常に熱があるなと感じました。ただ、たかが組織団体、されど組織団体、相手陣営の政党の壁は厚かったと感じます」と。個人的には何も変えられない自民党や立憲民主党など既成の与野党にうんざりしている。宮崎県の知事選挙で浮かび上がったのは、そうした思いを抱いている有権者が意外に多いという国民レベルの実態ではないか。地方の活性化を叫ぶ与野党の政治家は五万といる。だが変化はほとんど起こらない。それでも既成政党の推薦を得れば知事として3選はおろか、4選でも5選でも可能になる。既成政党を選ぶ有権者がよくないのか、それを誘引する既成政党に問題があるのか。既得権益の擁護でまとまる既成政党。この壁を突破できる政治家が日本の政治土壌から誕生するのだろうか?年の瀬にやけに政治の現実が見えた気がした。