台湾の頼清徳副総統=2020年1月、新北市(AFP時事)
台湾の頼清徳副総統=2020年1月、新北市(AFP時事)

 【北京時事】中国軍東部戦区の施毅報道官は25日、台湾周辺の空海域で統合軍事演習を同日行ったと発表した。「米台結託による挑発が強まっていることへの断固たる対抗策」と説明しており、米国で成立した2023会計年度国防権限法に対する反発とみられる。

「台湾、戦争の瀬戸際へ」 米国防権限法に反発―中国

 同法は、27年までに台湾向けに最高100億ドル(約1兆3300億円)の軍事資金援助を認めるとともに、中国の武力侵攻に備えて台湾の重要物資確保を支援することも盛り込んだ。台湾をめぐる軍事バランスが崩れる事態を警戒する中国側は24日、「台湾海峡を戦争の瀬戸際に追いやる」と米国を強く非難していた。

 施報道官は「一切の必要な措置を講じ、国家主権と領土を断固守る」と強調。今回の演習の具体的な場所や内容には触れていないが、東部戦区は、台湾の山脈の空撮画像に加え、爆撃機の離陸や艦艇が航行している画像を発表文に添付した。

 台湾では24年1月に総統選が行われ、中国は「台湾独立勢力」と見なす民進党政権の継続阻止を狙っている。中国が強く警戒する頼清徳副総統が民進党の最有力候補とされており、中国は向こう1年間、軍事的な威圧を強めると予想される。

 中国軍は今年8月、ペロシ米下院議長の訪台に反発し、台湾を包囲する形で前例のない規模の演習を展開。日本の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイルが着弾するなどして緊張が高まった。