[東京 11日 ロイター] – 慶応大学の白井さゆり教授(元日銀審議委員)は11日、都内で講演し、日銀が新体制のもとで10年間の政策検証を実施することを進言するとともに「よりシンプルに分かりやすい枠組みに変えられたらいいのではないか」と述べた。

日銀は昨年12月に開催した金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の枠組みを維持しつつ、長期金利の許容変動幅を拡大した。

白井氏は、日銀の判断について、政策の柔軟性と持続性を高めるという意味で方向性は「正しい」と評価。市場の状況を見極めつつ、柔軟性を高めていくことが「一つのこれから追求していく方向性だ」と語った。

今後の日銀の政策運営については、この10年間で政策の仕組みが複雑になってきたことから、よりシンプルで分かりやすい枠組みにしていくことが望ましいと指摘。そのためにフォワードガイダンスの表現やマイナス金利政策の副作用対策なども含め、政策全体の検証と総括が必要との考えを示した。

白井氏は「新しい体制のもとで、可能であれば10年のレビューをしたらいい」と述べつつ、「大きく何か枠組みを変えるのはちょっと考えづらい」とも語った。

(杉山健太郎、小宮貫太郎 編集:青山敦子)