1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比4.2%上昇した。第2次石油危機さなかの1981年9月(4.2%上昇)以来、41年4カ月ぶりの高水準。原材料高や円安の影響で価格転嫁が進む食料で高い伸びが続いたほか、全国旅行支援の縮小による宿泊料の下落幅縮小も押し上げ方向に寄与した。総務省が24日発表した。

  伸び率は市場予想(4.3%上昇)を下回った。日本銀行が物価安定目標に掲げる2%を上回るのは10カ月連続。日銀が物価の基調的な動きとして重視している生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは同3.2%上昇と、1990年3月(3.2%上昇)以来の高い伸びとなった。

  足元で物価上昇率が高まる中、日銀の黒田東彦総裁は「2%の安定的・持続的達成が見通せる状況にない」と繰り返し発言しているが、市場では4月に新体制の発足を控え、政策修正への思惑がくすぶっている。24日には衆院で後任総裁に指名された元日銀審議委員の植田和男氏の所信聴取が行われる。物価に関する見解を公の場で示す初めての機会であり、注目が集まる。

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  日銀が1月の金融政策決定会合後に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、コアCPIの前年比上昇率の見通しについて、2022年度を3.0%と従来の2.9%から上方修正した。23年度は1.6%に減速し、24年度は1.8%への伸び拡大を見込んでいる。

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