[東京 3日 ロイター] – 政府が3日に発表した1月の雇用関連指標は、完全失業率(季節調整値)が2.4%と2020年2月以来の低水準だった。新型コロナウイルス感染症の影響で抑制されてきた社会・経済活動が活発化し、労働市場が回復してきた。有効求人倍率は1.35倍と前月から低下したものの、求職者数は増えており、全体として状況の改善傾向が続いている。

総務省が発表した1月の完全失業率は前月から0.1ポイント改善し、ロイターがまとめた事前予測も下回った。就業者数(季節調整値)が18万人増加した一方、完全失業者数(同)が4万人減少しており、より条件の良い職を探していた人が仕事に就いたとみられる。

総務省の担当者は「宿泊業や飲食サービス業は落ち込みから回復しているが、まだコロナ前の状況には戻っていない。産業によってばらつきもあり、コロナの影響も少なからず残っている」と述べた。

大和証券の鈴木皓太エコノミストは、1月末で雇調金の助成額引き上げの特例措置が終了し、3月末には受給要件の緩和策も撤廃され、雇調金制度が正常化する予定になっている、と指摘。徐々に休業者が失業者となっていく可能性があり、「今後失業率が低下する余地は乏しい」との見方を示した。

<有効求人倍率、改善傾向は変わらず>

厚生労働省が発表した有効求人倍率は0.01ポイント低下した。2020年8月以来の低下となったものの、コロナ禍からの経済正常化の動きのもとで求職者は増えた。

有効求人倍率は求職者1人当たりに企業からの求人が何件あるかを示す。有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.1%減、有効求職者数(同)は0.6%増だった。

担当者によると、自発的に仕事を辞め、より良い条件を求めて転職活動を行う動きが活発化しているとの声も一部で聞かれたという。

1月の新規求人数(原数値)は前年同月比4.2%増加。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が同27.0%増と伸びた。このほか「運輸業、郵便業」が同4.0%増、「卸売業、小売業」で同3.8%増となった。

(杉山健太郎 グラフ作成:宮崎亜巳 編集:久保信博)