国立社会保障・人口問題研究所がきのう、日本の将来の総人口(外国人を含む)や年齢構成などがどうなっていくかについての人口推計を発表した。通常は5年にごとに発表しているが、今回はコロナの影響などから前回(2017年)から6年目の発表となった。内容をひとことで要約すれば、すべての推計値が右肩下がりになっているということだ。今更驚くこともないだろう。少子高齢化はだいぶ前から顕在化していた。その都度、日本中で少子化対策が議論され、合計特殊出生率の目標が設定され、なんとか子供を増やそうと官民あげて努力してきた。岸田政権の目下の最重要課題は少子化対策だ。6月には財源対策を含めて全体計画を取りまとめる。総理自身は「異次元の対策」と豪語し、取りまとめにあたっている官僚にはっぱをかけてきた。最重要課題であり、なんとかしたいという気持ちはよくわかる。だが、誤解を恐れずにあえて言ってしまえば、期待外れに終わるだろう。

理由は簡単だ。誰がやっても財源という壁にぶち当たってしまうからだ。仮に無尽蔵に財源を用意したとしても、子供の出生率が簡単に増えるとは思えない。子育て伴う将来不安やコストを考えれば、子育て世代が子供を産むこと、あるいは子供を増やすことに、簡単に同意するとは思えない。では、どうすれば子供を増やせるのか?そんなことを聞かれても答えなどあるはずもない。なけなしの想像力を駆使して回答を探せば、日本の将来につきまとっている不安をとり除くこと。そうすれば安心して子育てに取り組もうという若者が増えるかもしれない。そんな気がするのだが、将来につきまとっている不安を取り除く術など、どこにもない。いまの日本にないだけではない。いつの時代も、どの国も、あるいはどの民族も将来不安を抱えながら、未来を切り拓こうとしているのだ。子供を増やすために将来不安を解消する、そんな虫のいい話はおそらくこの地球上には存在しないだろう。

八方塞がりだ。なるようにしかならない。今回の推計は公式には2070年までだが、その先の数値もある。NHKによると2120年、今から約100年先の日本の総人口は5000万人を下回って約4973万人になると推計されている。現在の半分以下だ。ここまでくると日本民族消滅の危機だ。さてどうする? 100年先の人たちだって、民族消滅など受け入れないだろう。唯一の対策は移民の受け入れだ。日本と違って世界の人口は増え続けている。近い将来地球の人口は100億人を突破する。食糧危機が叫ばれ、いたるところで武力紛争が頻発する。そんな時代を先取りする移民受け入れ政策。男系男子という天皇の“純血主義”にこだわる国だ。穏健な日本人といえども、移民の受け入れは簡単ではない。議論するだけで天と地がひっくり返る大論争になるだろう。それでも議論は必要だろう。少子化対策に枠をはめる必要はない。柔軟に発想して大胆に決断する。人口が右肩下がりで減少するグラフを見ながら、そんなことを考えた。