[4日 ロイター] – 岸田文雄首相は4日、訪問先のモザンビークで会見し、2週間後に控えた主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)に向け、アフリカなど「グローバルサウス」諸国との橋渡し役を果たす考えを強調した。世界の分断が進む中、中国やロシアも関与するこうした新興国・途上国と関係強化を図る方針を示した。

岸田首相は4月29日からエジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークのアフリカ4カ国を歴訪。各国で生じている食料やエネルギー価格の高騰は「ロシアによるウクライナ侵略がもたらした」と指摘した上で、会談した首脳らに支援の方針を伝えたことを明らかにした。

岸田首相は「中国やロシアもアフリカにおいて様々な活動を展開している」と説明。中国がインフラ開発などでアフリカ諸国に資金支援などをしていることを念頭に「透明で公正な開発、金融の重要性についても議論した」と語った。また、各国首脳と「法の支配」に基づく国際秩序の重要性や「力による一方的な現状変更の試み」は認められないことを確認したと語った。

政府軍と準軍事組織が衝突するスーダン情勢にも言及し、「G7議長国、安保理非常任理事国としてスーダンの安定化に積極的に貢献する」と述べた。

このほか、韓国との関係改善が進む中、中国首脳との定期的な会談の予定を問われ、「具体的なハイレベル往来については現時点では何ら決まっていない」と語った。

内閣支持率が上向く中で浮上している早期の解散総選挙の可能性については、諸課題への取り組みを優先すると強調。「いまは解散総選挙について考えていない」と従来の見解を繰り返した。

首相は5日にシンガポールに立ち寄って首脳会談を行った後、帰国する予定。

(杉山健太郎 編集:久保信博)