[東京 5日 ロイター] – 政府は、新たな経済財政運営の指針(骨太方針)で、経済財政運営を巡り「中長期的な視点を重視」する考えを前面に打ち出す構えだ。財政を呼び水に民間投資を促し、四半世紀にわたるデフレ経済からの脱却を図るねらい。基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字化する目標は堅持するが、昨年に続いて年次自体の明記は見送る。

ロイターが原案を確認した。

経済財政運営では、中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営や社会保障制度の構築などを掲げる。

持続的な経済成長の実現に向けては、女性や高齢者の労働参加や資産所得の拡大で家計所得を押し上げるほか、グリーントランスフォーメーション(GX)などを念頭に「多年度にわたる官民連携投資が必要」と強調する。原案では「5年から10年の中長期的視点に立って、民需を引き出し、社会課題を解決する投資を促進する」と記す。

安倍政権以降続いた「経済あっての財政」との考えは踏襲する。財政健全化の旗を下ろさず「これまでの財政健全化目標に取り組む」と、25年度にPBを黒字化させる目標は堅持する一方、昨年に続いて年次そのものは明記しない方向だ。

新たな骨太方針では、予算編成の前提となる「歳出の目安」が24年度に3カ年の最終年度となるのに併せ、経済・財政一体改革の進捗(ちょく)を点検・検証することも盛り込み、与党との協議を踏まえて月内に閣議決定する。

(山口貴也、竹本能文、梶本哲史)